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24時間テレビ「再発防止策」は延命措置にすぎない 募金着服問題に進展…と言えるのだろうか?

東洋経済オンライン / 2024年2月6日 17時30分

これらの対策に対して、SNSの反応は冷ややかだ。「信用回復は難しい」「いったん終了させたほうがいい」などなど。こうした意見に、筆者もおおむね賛同している。どうも日本テレビは、問題の"本質"が見えていないと感じるからだ。

着服が公表された直後、筆者は当サイト(東洋経済オンライン)に「24時間テレビ『募金着服』よりマズい最大の問題 すでに番組そのものが時代に合ってない可能性」(11月30日付)と題したコラムを寄稿した。

ここで筆者は、視聴者が長年にわたって「24時間テレビに対するモヤモヤ」を抱いていて、そこから「偽善」や「感動ポルノ」批判につながっていったと考察。募金についても「貢献の可視化」が求められる時代ゆえに、時代に合わせた形にアップデートしない限り、こうした疑念は拭えないだろうと指摘していた。

そうした前段を踏まえて、今回の発表を見ると、「延命措置を講じただけで、根本的な解決になっていない」と感じてしまった。再発防止策が示されたのは「現金の集金・運搬」のプロセスのみで、これは募金システム全体からすれば、あくまで入り口にすぎないからだ。

視聴者の抱くモヤモヤは、とっくの昔に、その先へ進んでいる。すでに疑惑の目は、ゴールである「使途」に向けられており、「本当に社会貢献に寄与しているのか」「番組制作費に流用されていないか」との問いに対するアンサーは、再発防止策では示されていない。

性善説に立てばいいのであろうが、そうもいかない背景には、「テレビへの不信感」の高まりがある。故ジャニー喜多川氏の性加害問題を報じなかったことや、ダウンタウン松本人志さんの「神格化」、そして日テレでは『セクシー田中さん』の原作改変も問題視されている。

これらは一見、別ジャンルの事象にも見えるが、通底するものがある。いずれも「資金力にモノを言わせる手法」が背景にあること。そして、その権力構造の中心には、テレビをはじめとするマスメディアがあることだ。

下品な表現で言い換えれば、「札束で頬をひっぱたけば、なんとかなる」かのようなマインドが常態化していたのではないか……というのはやや筆者の主観がすぎるかもしれないが、しかしながら、テレビ局のスタンスや芸能人の神聖化、関わる人に対するリスペクトのない制作体制が、どれも時代錯誤になりつつあるのは、多くの人がうなずくところだろう。

スマートフォンに可処分時間を奪われることで、テレビの権威は相対的に低下した。またSNSの普及により、社会問題の可視化が進んだことで、「テレビが報じない出来事」が日の目を見る機会も増えた。

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