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24時間テレビ「再発防止策」は延命措置にすぎない 募金着服問題に進展…と言えるのだろうか?

東洋経済オンライン / 2024年2月6日 17時30分

個人店を訪れた取材クルーが「出してやる」的な、上から目線で来たから断った……という体験談は、毎日のようにタイムラインに登場する。かねて24時間テレビに向けられていた「出演者は高額のギャラをもらっているのでは」との疑問も、このような「ギョーカイの論理」に対するモヤモヤからではないか。

「金で解決するバブリーな時代」を踏襲している

そうした切り口から、今回の再発防止策を見てみると、どうしても筆者には、「金で解決するバブリーな時代」を踏襲しているようにしか思えなかった。

キャッシュレス募金を導入するにしても、決済手数料は別途かかる。警備員を配置すれば、当然ながら人件費が必要だ。セキュリティーに見識のある輸送業者へ委託するとなれば、外注予算を見込まなければならない……。

最大の問題は、一連の対策が「集める側の理屈」でしかなく、思いを託す一般視聴者を意識していないことだろう。

募金する側としてみれば、1円でも多く活用してほしいはず。コストが増えれば、本来社会貢献に使われるはずだった「浄財」は、そのぶん目減りする。

プロに頼むということは、それなりの費用がかかる。さすがに各業者も手弁当で行ってはくれないだろうし、むしろ協力者に「ボランティア」を強いてしまえば、それこそテレビ業界の傲慢さ、やりがい搾取を象徴する出来事になってしまう。

もっとも、こうした外部委託費を募金から出すことはないだろうが、「その分を放送局が上乗せできていれば」とネガティブな感情は残る。視聴者も、例年と同額を募金したとしても、決済手数料で中間マージンが増えれば、地球を救うための「愛」が削られる。

元はといえば、募金着服は「日テレ系列内のガバナンス問題」でしかないのに、視聴者の負担になっている印象を覚えさせる。流通業界であったら、消費者から嫌われがちな「ステルス値上げ」をしているようなものだ。どう考えても、悪手でしかない。

時代の変化のなかで渡されつつある引導

前述した昨年11月のコラムでは、「貢献の可視化」が求められる時代に合わせ、募金システムそのものを根本的に変えなければならないと提案していた。しかし、実際に出された再発防止策は、その要求を満たしておらず、一時的な延命措置にしかならないと感じられる。

金で芸能人やスタッフを動員する時代は、もう終わった。日本武道館のような大箱を押さえ、思いつく限りの人気者を並べた「お祭り」自体は、1年に一度くらいあってもいい。

しかし、そこにチャリティーやボランティアを絡めるのは、そろそろ限界なのではないか。コストを抑えた「アイデア勝負」の番組制作や集金体制に切り替えない限り、テレビを拠点にした社会貢献活動は難しいだろう。

城戸 譲:ネットメディア研究家・コラムニスト・炎上ウォッチャー

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