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"複数の言語を話す"が脳の健康に良いという真実 人間がAI時代に外国語を学習する意味は何か

東洋経済オンライン / 2024年2月7日 17時0分

最近の研究によって、複数の言語を話すことは脳の健康に有効だということがわかってきた。その研究結果を裏づける高齢者はたくさんいるが、ウィルヘルミーナもその1人だ。

マルチリンガルを対象にした神経科学の研究からさまざまなことがわかってきたが、最近の発見の中で特筆すべきは、複数の言語を話すことは、アルツハイマー病やその他の認知症の発症を平均して4年から6年遅らせるというものだろう。

運動と食事を別にすると、脳の老化を予防するのにここまで効果がある方法は他になく、まさに驚くべき発見だ。

認知症の発症が数年遅れるということは、自立して生活し、人生を楽しめる期間が延びるということを意味する。そしてもしかしたら、孫と一緒に遊び、その成長を見守る人生と、孫が誰だかわからない人生を分けるカギにもなるかもしれない。

2つ以上の言語をつねに使い分けていると、脳内ではより多くの神経の通り道が形成される。加齢による脳そのものの衰えは避けられないが、普通よりもたくさんある神経の通り道が、その衰えを補う役割を果たしてくれるのだ。

もちろんバイリンガル(2つの言語を話す人)も、認知症になれば脳の機能は低下するが、脳内につながりがたくさんあるおかげで、残りの機能をより効率的に使うことが可能になる。

言い換えると、マルチリンガルも認知症にはなるが、その症状は脳が同程度に衰えたモノリンガル(1つの言語のみ話す人)に比べて軽いということだ。

マルチリンガルは、たとえ脳の機能が認知症と診断されるほど衰えても、日常生活への影響が出にくい。

モノリンガルとバイリンガルの脳の機能を厳密に比較した研究によると、バイリンガルは、記憶力と認知機能の低下がモノリンガルよりも少ない。それに、MMSE(ミニメンタルステート検査)など認知機能を測定する標準テストでもモノリンガルより好成績だった。

複数の言語を話す人は認知症の発症が遅くなるという現象は、「認知予備能」として知られている。

認知予備能とは、脳の生理学的な状態と、実際の認知機能のレベルの違いを表す表現だ。代替となる認知リソース(予備能)を持っていることは、脳の病気やストレスといった抑制に対抗する有効な手段となる。

この能力を、脳のダメージに対するレジリエンスだと考えてみよう。

認知能力の予備をたくさん持っている人は、予備の少ない人に比べ、たとえ病気、加齢、ストレス、一時的な健康状態の悪化などで脳が同程度のダメージを受けていても、認知機能を使うタスクで高い能力を発揮することができる。

特に影響が大きい要素は「教育」

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