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天下一品の看板「こってりスープ」50年かけた進化 創業時は屋台からのスタートだった

東洋経済オンライン / 2024年2月8日 11時50分

ラーメンとこってり天津飯(写真提供:天一食品商事)

日本人の国民食ともいえるラーメン。昨年行った取材では、こんな話を聞いた。

【写真を見る】天一食品商事の木村一仁社長

「店で食べるラーメンの一番人気はしょうゆラーメンで、とんこつラーメンは麺の固さへのこだわりも含めてヘビーユーザーが多いです。

また、近年は好まれる味が多様化しており、魚介やとんこつのみを使ったシングル出汁(だし)はあまりウケず、ブレンドした合わせ出汁が多く、総じて濃厚な味が好まれています」(持ち帰りラーメンの開発責任者)

濃厚な味で人気のチェーン店に「天下一品」(運営:天一食品商事、本社は滋賀県大津市)がある。京都発祥だが東京都内にも店舗があり、「無性に食べたくなる」という人も多い。なぜ、長年愛されるのか。木村一仁社長に聞いた。

年間出荷総麺数は2000万食弱、7割が「こってり」

まずは近年の業績について、木村社長はこう語る。

「コロナ禍当初は外出自粛や、店舗が入る商業施設の休館や営業時間短縮で苦戦しましたが、業績は回復しています。天一食品商事などグループ5社の売上高は2022年度=95億8900万円、2023年度=115億3700万円で、コロナ前2019年を超えるところまできました」

こう話す木村社長は、創業者である木村勉会長の後を継いだ2代目。2018年6月から社長を務めてきた。

現在の国内店舗数は「218店」(2024年1月現在)で、天下一品といえば、濃厚なスープ「こってり」が有名だ。全店舗でどれぐらい注文されているのか。

「2023年の出荷総麺数は2000万食弱でした。店舗によって異なりますが、7割以上は『こってり』をご注文いただいています」(木村社長)

秘伝のスープの味は、時代に合わせて変えてきたのだろうか。

「少しずつ進化させています。創業時は屋台からのスタートでした。創業者の木村勉会長が試行錯誤しながら試作を繰り返し、『こってり』を完成させましたが、当時は材料や調理器具の入手も困難で苦労しました。1号店となる『総本店』(京都市左京区)でスープを炊いていた頃から、設備の整った工場(当初は京都市伏見区、現在は滋賀県大津市)で各店舗に供給する現在まで、スープは進化し続けています」(木村社長)

創業者は「こってりスープは私の命」

もともと木村勉会長がラーメン店を始めたのは、勤めていた会社が倒産したからだ。今から53年前の1971年、京都・銀閣寺周辺の屋台から「天下一品」の歴史がスタートした(その後に店名をつけた)。初日は11杯しか売れなかったという。当初はしょうゆ系だったが、やがて別の味を開発し始める。

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