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天下一品の看板「こってりスープ」50年かけた進化 創業時は屋台からのスタートだった

東洋経済オンライン / 2024年2月8日 11時50分

ところで創業半世紀を超えると、消費者自身も年を重ねる。加齢によって「好きだけど重たく感じるようになった」という声はないのだろうか。

「長年通われる常連のお客さまが『こってり』から『屋台の味』へ移られる変化はあります。一方で、比較的最近に『天下一品』を知って通われる若い世代やご家族連れも多くおられるので、出品数の比率に大きな変化はないように思います」

消費者取材では、「日々のランチは1000円未満で押さえたい。人気カレーチェーンも値上がりした結果、あまり行かなくなった」(別の40代男性)という声を聞く。「ラーメン1杯1000円の壁」もよく言われる。天下一品は「こってり」「あっさり」「屋台の味」が単品で(並)税込み920円、「味噌ラーメン」は同970円だ(※価格は店舗により異なる)。

天下一品として、どう考えているのか。

「ラーメン1杯1000円」への思い

「お客さまのご負担が増えることは大変心苦しいですが、『ラーメン1杯1000円時代』はもうそこまで迫っていると思います。輸送費、光熱費、人件費の高騰に加え、特に当社のラーメンは原材料にコストが多くかかっているからです」

木村社長はこう説明しながら続ける。

「このような中で、商品や接客のクオリティが下がることがないよう、またご来店されるお客さまに快適にお食事いただける店舗づくりに精一杯励んでいきます」

SBI新生銀行が定期的に実施する「会社員のお小遣い調査」における「昼食代」の平均は、2023年は男女ともに600円台だった。ふだんは節約してその分、少し昼食代を奮発する日もあるだろう。そうした時に選ばれる店になれるか。

現在、国内218店を展開する「天下一品」だが、本拠地の関西に比べると首都圏での知名度はそこまで高くない。今後の課題をどう考えているのだろうか。

自宅で楽しむ「家麺」にも注力

「人材育成やさらなる知名度アップ、店舗拡大も課題ですが、店舗レジの無人化や配膳ロボットなどDX対応も道半ばです。今後は“お客さまと商品との接点”も増やしていきたい。

具体的にはデリバリー含むテイクアウト用ラーメンの充実、自販機やサービスエリアなどへの商品供給で、通販以外にも『家麺』の販路拡大に取り組んでいきます。

また、アウトドアでも当社のラーメンを楽しんでいただきたい思いもあり、取引先と連携してコラボ商品開発も進めています」(木村社長)

コロナ禍のデリバリー拡大期では、当時こんな声を聞いた。

「もともとラーメン店好きな私ですが、外出自粛期で外食もままならず……。麺類もデリバリーしますが、汁ラーメンは麺がのびるので、つけ麺を頼んでいます」(30代女性)

製麺業者が“のびない麺”を開発している声を聞くが、自宅で再現できる冷凍麵の開発で販売数を伸ばした会社もある。

「天下一品」のラーメンを家庭の食卓にも浸透させることができるだろうか。

高井 尚之:経済ジャーナリスト、経営コンサルタント

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