部下との1on1を「豊かな」時間にする3つの糸口 "心理的安全性"を脅かさないためにできること
東洋経済オンライン / 2024年2月8日 6時50分
「1on1ミーティング(以下、1on1)が憂鬱です……。いつも上司が一方的に話してばかりで、気がつくと業務の進捗確認になっています」
こうした悩みを持つ部下は少なくありません。一方で、上司は上司で「1on1で何を話せばよいかわからない……」と悩んでいるものです。
では1on1を有意義な時間にするにはどうすればよいのでしょうか?『マネジメントに役立つ 心理的安全性がよくわかる本』を上梓した広江朋紀氏に聞きました。
1on1形骸化で部下の心理的安全性が低下
近年、多くの会社で導入されている1on1。しかし、運用が軌道に乗らず、形骸化している例は枚挙にいとまがありません。
時短勤務で働いている社員から、「上司の雑談や趣味の話に付き合わされて時間がもったいないので、仕事をさせて欲しい」という切実な声を聞いたこともあります。
本来、部下の成長支援や悩みを解消するはずの1on1が、新たな悩みの種になっては本末転倒です。こうした状況が放置されると、やがて上司と部下の間の心理的安全性は損なわれていきます。
1on1を豊かな時間にするためには、3つのポイントが有効です。それぞれ見ていきましょう。
1. メンバーの成長のために「経験学習サイクル」を回そう!
本来、1on1は、メンバーが経験から学習し、次のアクションへと変換する整理のための振り返り機会としても期待されています。
1on1の効果を高めるためのフレームとして、組織行動学者のデイビッド・コルブ氏が提唱した「経験学習サイクル」があります。これは、経験から学ぶ一連の流れを4つのステップでまとめたものです。
この「経験学習サイクル」を参考に考えると、1on1では、部下ひとりで客観的に振り返りにくい経験を棚卸しし、気づきを言語化したうえで、ネクストアクションの設定を支援することが、理想的な上司の関わり方といえるでしょう。
たとえば、あるメンバーが、1on1を通じて「クロージング業務の改善」を考え、一人で営業のクロージングに成功した話を取り上げたとしましょう。
こういった状況ではまず「なぜ今回うまくいったのか?」積極的に傾聴し、クロージングまでの流れの洗い出しに寄り添うことが重要です。これが、「経験学習サイクル」における「具体的な経験」にあたります。
そして「うまくいかなかったときとの違いは何だろう?」など、質問を投げかけながら、「内省的省察」を促すことでメンバーは、今回うまくいったケースから教訓を学びます。「教訓にする」ことで、顧客や状況が変わった際も、メンバーが自分で考え「積極的な実践」ができるようになるのです。
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