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異様に眠れる人気ビジホ・スーパーホテルの実態 月額200万円のクレーム保証で顧客の声を聞く

東洋経済オンライン / 2024年2月8日 12時10分

「保証をはじめたのは2005年からで、今年で19年が経ちます。でも10年以上こんな取り組みを続けているのは弊社だけではないでしょうか。当時は毎月、グループ全体で200万円の返金がありました」と星山氏は苦笑いする。

社内からは「そこまでやらなくても」という声もあがったそうだが、会長である山本梁介氏の決断は揺るがなかった。返金理由は、「枕が合わない」「マットレスが硬い」「音が気になって眠れない」等々……。スーパーホテルはそれらの声にしっかりと耳を傾け、1つひとつ、改善していったという。

対応策を聞けば、枕とマットレスは前述の通りだが、音に関しては、建物のリフォームにまで踏み込んだそうだ。とはいえ、最初からマンションの躯体を参考に設計したため、隣室からの声は漏れていなかったのだとか。窓外や廊下からの声が漏れ聞こえていたという。

「そこで、窓はペアガラスにして二重に。廊下からの声は、ドアの四隅の隙間から入るため、ゴムパッキンをして隙間をなくしました。冷蔵庫のジーンという音が気になる方もいたので、静音タイプに変えました」

このような積み重ねの結果、客室の音は今、図書館並みのデシベル数値になっているそうだ。

保証制度を利用した返金は今も月に10万円ほどある。しかし、その理由のほとんどは、予期できない設備故障などによるもの。「眠れなかった」という声はなく、反対に、「ぐっすり眠れた。スーパーホテルはさすがだね」という称賛を数多くもらうという。

「ファンミーティング」に840名の顧客を集める原動力

「この結果から考えれば、月200万円は、スーパーホテルにとって有効な投資でした」と言い切る星山氏。ゲストからの声を基に、本当の意味で「安全・清潔・ぐっすり眠れる」環境を実現するために必要だったのだ、と。とはいえ、当初は星山氏も懐疑的だったそうだ。だが、ゲストの指摘を受けどんどん改善していくさまに、圧倒された。

この取り組みがやがて「ぐっすり研究所」の設立につながり、眠りを追求するさまざまなサービスの開発につながっていったのだ。コンセプトを掲げても、ここまで本気で実現しようとする企業は、そうはいないのではないか。ホテル業界内外にかかわらず。

たとえそれが非常識でも、大きな出費であっても、遂行する真摯な姿勢。それが、「ファンミーティング」に840名もの顧客を集める原動力になっているのだ。

後編では、さらに非常識な「3大革命」について紹介する。

笹間 聖子:フリーライター・編集者

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