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宝くじ「高額当せん続出」という売り場のカラクリ 「出る」と噂の売り場に並ぶ価値はあるのか

東洋経済オンライン / 2024年2月9日 13時0分

このように、飛び抜けた一部のデータのことを「外れ値」といいます。平均値は、外れ値の影響を受けると「だいたい真ん中にくる値」にはならないことに注意してください。

「だいたい真ん中にくる値」は、「中央値」で算出します。
〈年収の中央値の出し方〉 年収データ:300万円・400万円・500万円・600万円・800万円・1000万円・2000万円(計7データ)

7データを順に並べ、真ん中にくる600万円が中央値です。年収などの場合、大多数の感覚に近いのは、平均値ではなく中央値です。中央値は、小さい順から大きい順にならべて、その真ん中にくる値になります。外れ値の影響を受けにくいので、大多数の感覚に近い数字として表すことができます。ちなみに、給与所得者全体の年収中央値は350万~360万円程度です。

宝くじの還元率が約50%と聞いて「そんなに戻ってくる感覚がない」と思うのは、還元率が高額当せんなどの外れ値を含めて計算された平均値だからです。そのため、宝くじを買ったことのある大多数の人の感覚としては「もっと少ない」と感じるはずです。

次に、「高額当せん続出の店で買ったほうが当たりやすい」のは本当かどうか検証していきます。

「せっかく買うのなら、1時間並んででも高額当せんがたくさん出る売り場で買いたい」というのは、「店によって、当たる確率が違うのでは?」と思っているからだと思います。ここまで読んだあなたなら気づいていると思いますが、店によって当たる確率に偏りがあるわけではなく「サンプルサイズ」の問題なのです。

なにかしらの検証をしたいときは、データを集めます。集めたデータ数のことをサンプルサイズといいます(「サンプル数」と間違われますが、正しくはサンプルサイズです)。

「確率的に、当たりやすい宝くじ売り場は存在しない」

宝くじの場合、その店で販売された宝くじの枚数がサンプルサイズになります。100枚売れた宝くじ売り場と1万枚売れた宝くじ売り場では、どちらが高額当せん者の数が多いでしょうか? もちろん、サンプルサイズ(販売枚数)が大きいほど、高額当せん者の数も増えます。

高額当せん者が出る→出る店っぽく見える→たくさん買う人がくる→売れば売るほど、高額当せん者が出る

このような構造になっています。

「販売枚数が多い宝くじ売り場ほど、高額当せん者が出やすい」というのは、数学法則として正しいです。しかし、「過去の高額当せん者が多い宝くじ売り場で売られている宝くじほど当たりやすい」というのは間違っています。

当せん確率は、なにか細工をしていない限りどの店で買っても同じです。確率が高いことと当たる数が多いことはまったく別物です。このことをわかっていない方がとても多いのです。「確率的に、当たりやすい宝くじ売り場は存在しない」ということがおわかりになったかと思います。

サトウマイ:データ分析・活用コンサルタント

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