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"久遠チョコ"バラ売りでヒットの意外なきっかけ 面白がってくれた百貨店のカリスマバイヤー

東洋経済オンライン / 2024年2月9日 11時50分

久遠チョコレートを代表する商品「QUONテリーヌ」。世界各国から集められたカカオと、厳選された日本各地のお茶やフルーツを組み合わせた150種類以上。久遠チョコレートが目指す「凸凹ある誰もが活躍できるカラフルな世界」を象徴する(写真:『温めれば、何度だってやり直せる チョコレートが変える「働く」と「稼ぐ」の未来』)

バレンタイン目前。百貨店のバレンタイン催事で今年も人気を集めている、色とりどりのテリーヌ型チョコレートがある。

世界各国のカカオや国内のさまざまな食材を組み合わせ、手作業で作られる色彩豊かな「QUONテリーヌ」。作っているのは愛知県豊橋市に本店を構える「久遠(くおん)チョコレート」だ。

久遠チョコレートは代表の夏目浩次さんが2014年、「凸凹がある多様な人たちを誰一人取り残さず、かっこよく働ける場所を作りたい」と開業した。現在は北海道から鹿児島まで60の拠点を持ち、年商18憶円にまで成長している。

夏目さんの著書『温めれば、何度だってやり直せる チョコレートが変える「働く」と「稼ぐ」の未来』から一部を抜粋・編集し、人気商品が生まれた背景を探る。

久遠チョコレートは、愛知県豊橋市の古い商店街に本店を構えるチョコレート専門店。僕がこのブランドを立ち上げたのは2014年のことだった。

【写真で見る】3枚セットで人気の商品は「恋はいつも甘酸っぱい」「雲の上のお茶」「チョコレートで弾けよう!」など絵本のようなタイトル

その前身となるパン工房を起業したのは2003年。まだバリアフリー都市計画を専門にする大学院生だった20代の時。熱い思いと理想を抱きながらもあっという間に借金1000万円以上を抱え、もがきながら再スタートを切ったのが久遠チョコレートだった。

10年経ち、久遠チョコレートの拠点は、愛知県に留まらず北海道から鹿児島県まで全国で60ヵ所になった。百貨店のバレンタイン催事などで目にしたことがある人もいるかもしれない。年商はフランチャイズ店も含めて18億円にまで成長した。

でもまったく満足はしていない。僕が思い描く理想というのは、久遠チョコレートのやっていることが「当たり前」の社会になることだからだ。

久遠チョコレートの看板商品は、1枚からバラでも買えるテリーヌチョコレート「QUONテリーヌ」。

日本全国のさまざまな食材を用い、季節限定品・地域限定品を合わせると、その種類は150種類以上だ。世界30ヵ国以上のカカオを使い、カカオバター以外の植物性油脂を一切使わない、こだわりのチョコレート作りを心がけている。

自信がなくて始めたバラ売り

告白すると、僕がテリーヌチョコレートをセット売りにせず、1枚から買えるようにしたのは、商品力に自信がなかったからだ。

何しろ久遠チョコレートは、技術のあるショコラティエが始めたブランドではない。チョコレート作りのデビュー戦だ。だから、なるべく低価格で買いやすい商品にしたいと思って、1枚ずつ個包装にし、バラで好きなフレーバーを選べるようにしていたのだ。

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