生活に不安で「文学の研究を断念」揺れる院生の心 就職できるポストも少なく、道のりは険しい
東洋経済オンライン / 2024年2月9日 11時40分
学部生の時は大学院への進学を考えていなかったが、いったん社会に出て働いてみたことで、日本文学の古典を研究することの意義を改めて感じた。
「社会に出てみると、いろいろな人たちが関わり合って成立していると感じます。一緒に関わっている人たちが、どのような気持ちで、どんな考えを持って日々生活しているのだろうと考えたときに、どのようなイメージを共有しているのかが気になるようになりました。
そのなかで、日本らしさとは何かについて興味をもちはじめました。日本らしさだと言われていることの中には、昔からそう思われていたのではなくて、昭和に入ってから文学研究者によって見いだされたものが少なくありません。
その一例が『言葉に魂が宿る』という考え方です。万葉集には数例しかなかった表現から、研究者が発見して、日本人らしさとして指摘しました。
また、四季も日本の気候の特徴と昔から捉えられていたわけではなく、日本の特徴を対外的に主張する際に和歌の文化の中で醸成された四季が強調されたとも言われており、現在でも季節のイメージには和歌で作られたものの影響が濃く残っていると考えられています。
文学を通して、日本を再解釈するのが研究の醍醐味です。その成果は、クールジャパンなどで日本の文化を海外に売り出す際にも、寄与できるのではないかと思っています」
文部科学省は2023年度の学校基本調査の確定値を、2023年12月20日に公表した。大学の学部卒業生の進路では、大学院などへの進学を選んだ人の割合は12.5%で、前年度よりも0.1ポイント上昇した。大学院研究科に進学した人数も前年度よりも989人増加し、6万5998人となった。
学科別に見ると、理学や工学、農業など、理系の学科はすべて進学者が前年度より増えている。工学系は393人増えて3万3792人。それに対して、減っていたのは11人の微減だった芸術系と、人文科学系だった。人文科学系は前年よりも118人少ない3442人で、人文科学系離れだけが目立った。
10年前の2013年度の調査結果と比べてみても、理系はすべて進学者が増えているのに対し、文系である人文科学系は566人減少している。長期的に見ても、人文科学系への進学者は減り続けているのだ。
大学院で国文学専攻の同級生はいない
山口さんによると、大学院で国文学専攻をしている同級生はいない。山口さんは高校時代にオープンキャンパスで講義を受講し、担当していた教授に学びたいと考えて進学した。ただ、後輩らと話す中で、みんな必ずしも学びたいことがあって入学したわけでもないと感じている。
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