1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

食べログ逆転勝訴の決め手「別ロジック」の波紋 独禁法の「精鋭弁護士」は戦い方をどう変えた?

東洋経済オンライン / 2024年2月9日 7時40分

飲食店はほとんどの店が集中する3.0点台前半から、評点3.5以上や4以上などの「高いレンジ(範囲)」に上がるためには、多くのレビュアーから高得点を得ることはもちろんだが、一定数以上の「食通」(影響度がとくに高いレビュアー)からも高評価をもらうことが必須だ。

ところが数年前に一部の「有名レビュアー」が飲食店側から接待を受ける見返りに、その飲食店に高評価をつけていたことが明らかになり、社会的な批判を浴びた。現在も一定数、不正を働くレビュアーはいるという。

疑惑のレビュアーは影響度を引き下げる

そこで食べログは、不正行為を働いていると強く疑われるレビュアーを独自の基準であぶり出し、定期的に影響度を引き下げている。すると、そのレビュアーが過去に投稿した、不正行為に関係ない口コミを含むすべての影響度が小さくなる。

前述したように飲食店が高いレンジの評点であるためには、食通とされるレビュアーからの高評価が必要条件だ。そのため影響度調整によって有力レビュアーが食通と認定されなくなった場合、彼らが高評価していた飲食店の評点が大きく下がる、ということが起こりうる。

原告の焼き肉店のようにサクラを雇わずに高評点だった飲食店でも、その評点の根拠となっていた有力レビュアーの口コミの影響度が引き下げられると、つれて店の大きく評点も下落するケースがある。

食べログは定期的にアルゴリズムの見直しを行っているが、今回の別ロジックも影響度調整の一環だという。食べログ側は2審でこの前提を裁判官に説明したうえで、こう主張した。

「今回の訴訟で問題となっている2019年5月のアルゴリズム変更の要素は主に2つある。①チェーン展開している店舗の認知度の調整(チェーン店ディスカウント)と②レビュアーの影響度の調整(別ロジック)だ。焼き肉店側は①の影響で評点が下がったと訴えているが、実際に下がった要因としては不正防止のための②の方が大きく、①の影響はほんの一部である」

このような議論は1審でもまったくなかったわけではないが、食べログ側の立証が不十分だったのか、判決文ではほとんど触れられていない。

アルゴリズム変更の合理性

焼き肉店側は裁判の過程で、詳細なアルゴリズムが開示されていないとして、この別ロジックの存在自体を疑問視している。しかし高裁は食べログの主張を採用し、今回のアルゴリズム変更全体を「合理性がある」「一般消費者である食べログ利用者の評点に対する信頼を確保するために行われたもの」と判断した。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください