「パワハラ禁止のはずが…」"陰湿な職場"急増の訳 「ゆるい職場」が「危険な職場」に変貌する衝撃
東洋経済オンライン / 2024年2月9日 6時55分
「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」 と心理学者のアドラーが考えたように、ほぼ全ての人が人間関係で悩んだ経験があるはず。
「人から嫌われたくない」「飲み会のような場を避けたい」「面白いことを言わないといけない」。そんな悩みを一度でも感じたことのある方にオススメなのが「笑いの力」を利用すること。
元お笑い芸人である中北朋宏氏は、芸人引退後に未経験でコンサル業界に転職し、「笑いの技術」を駆使して3年で売り上げナンバーワンに。
その後、起業して株式会社俺を設立。現在は芸人のセカンドキャリア・転職を支援する「芸人ネクスト」と、「お笑い」と「コミュニケーション」を掛け合わせた、心理的安全性や営業力を向上させる独自のノウハウ「コメディケーション」を260社、2万6000人以上に提供している。
最新刊『おもしろい人が無意識にしている 神雑談力』では、中北氏のこれまでの経験から培った「笑いをビジネスに活かす技術」を網羅。
以下では、その中北氏が「陰湿な職場」について解説します。
「ゆるい職場」から「危険な職場」へ
昨今、心理的安全性の重要性が叫ばれ、「厳しい職場」への撲滅運動が盛んに行われてきました。
それに伴い、上司からの「指摘」や「フィードバック」も「厳しい言葉」や「厳しい対応」と解釈されてしまい、撲滅されていきました。
少し前に私がご一緒しているお客様からお伺いした話が印象的でした。
部下が「注意するとすぐ不機嫌になる」「言いすぎると辞める」などの事象が起こり、リスクを回避するためにも上司が「腫れ物に触る」かのように部下に接していることが多くなってきているという話です。
このような事象から「厳しい職場」の特徴でもある指摘・フィードバックが減り、心理的安全性はあるがキャリアの安全性が保証されていない「ゆるい職場」へと変化を遂げているわけです。
結果的に「ゆるい職場」に変化を遂げたものの、若手はキャリアの安全性を感じることができず離職へとつながっていきます。
こうして、心理的安全性が確保されたのに、若手が抜け始めると、「やはり厳しい言葉も必要なのでは?」「やっぱり厳しく教育しなおそう」という機運が高まってしまいます。
結局、解決すべきだった「キャリアの安全性」という、問題は未解決のまま、せっかくあった「心理的安全性」も落ちてしまう、ということになるわけです。
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