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「セクシー田中さん」詳細が公表されぬ4つの理由 日テレと小学館、本当に「責任逃れ」狙いなのか

東洋経済オンライン / 2024年2月9日 11時30分

関係者の周辺取材をしたところ、いくつかの実態が浮かび上がってきました。繊細な内容のため、詳細は書けませんが、これほどの問題が起きた以上、両社に多少の配慮不足やスケジュール優先の姿勢などがあったことは否めないでしょう。ただこれはドラマ制作に限らず、多くの人間がかかわるビジネスの現場では起こりうることであり、その原因はチェック機能やガバナンスなどの組織的な面に行き着くものです。

一般的に取引先や進行中の仕事が多い企業ほど、“組織的な問題点を洗い出すこと”を避けたがる傾向がありますが、現在の世の中でそれ以上に避けたいのは、“悲劇の連鎖を生まない”こと。テレビ局や出版社のようなメディアであればなおのことです。

今回、周辺取材をした中で最も多く聞こえてきたのが、「経緯を調べるほど個人を糾弾する流れになっていく」「公表したら公開処刑のようになり、社会から抹殺されてしまう」「当事者はすでに追い詰められているから、最悪のケースがないとは言い切れない」などと個人を糾弾されることへの不安でした。

是非の判断こそできないものの、組織としての保身というより、本気で個人の心配をしている声が多かったのです。どんな経緯や検証結果を公表しても、ドラマにかかわったプロデューサー、脚本家、演出家、あるいは担当編集者とメディア担当者、その上司などを世間の人々が過剰攻撃されるような形になってしまうため、それを避けたいのでしょう。少なくとも現在すでに「世間から個人より会社が責められている」という状況だけに、組織優先の責任逃れや隠蔽と言い切るのは無理があります。

知人の某出版社編集者は「おそらく刑事事件にならないことだから、過剰に個人を責めるところに行ってほしくないのだと思います。各担当者に至らないところがあったとしても、自分なりに一生懸命やったかもしれないし、もしそうなら責められるべきは会社だから」などと語っていました。

しかし、「ある個人を過剰な攻撃から守ることで、他の個人を困らせることになってしまう」というケースがあるのも事実。それぞれの局員、社員はもちろん、取引先の担当者、視聴者や読者などのために、もし経緯の詳細を公表しないとしても、今後に向けた具体的な対策は1日でも早く出さなければいけないように見えます。

テレビ局と出版社の関係性を優先

両社がなかなか動かない3つ目の理由は、「ビジネスとしてテレビ局と出版社の関係性を良好に保ちたい」から。

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