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近未来は人間のいない戦争に備える必要がある メタバース空間における戦争「メタマゲドン」も

東洋経済オンライン / 2024年2月10日 19時0分

進化し続けるAI技術、メタバースは戦争をどう変えるのでしょうか(写真:wakamatus.h/PIXTA)

いまだ終結の糸口がみえないウクライナ侵攻では数多くの犠牲者が出ましたが、元航空自衛隊空将の長島純氏は、「未来の戦争では、戦場から人がいなくなる可能性がある」と説きます。同氏の新刊『新・宇宙戦争』より、AI技術、メタバースの進化が、戦争をどう変えるのかご紹介します。

未来の戦場――人間のいない戦争

将来、戦闘の概念は根本的に変わると思われます。敵を探し回る自動徘徊型の無人戦闘車両、空母に襲いかかる数万もの小型ドローンの群れ、空中戦の只中にもパイロットに戦い方のアドバイスを行なうバーチャルアシスタント、リアルタイムの情報を基に自律的な攻撃を行なう空対地ミサイル。

これらは、一見すると荒唐無稽にも見えますが、人工知能(AI)を備えるインテリジェントな自律型無人システムやロボットが主役となるような未来の戦場では人間が主役とはならないかもしれません。

これは2019年公表の中国国防白書で言及された「智能化戦争(Intelligentized Warfare)」や、米陸軍が公表した「SF:2030−2050年の戦争の未来像」で描かれた世界観でもあります。

その戦いの中核となるAIは、アルゴリズムとデータによって進化を続けるデジタル・エコシステム(生態系)であり、人間が実証的に使用しながらデータのインプットを繰り返すことによって進化を遂げていきます。

中国がAI技術を智能化戦争に適合させ、アメリカに対して優位を確保するためには、量子(計算機)、高精度センサー、画像認識システム、超高速ネットワーク、ビッグデータなどのデュアルユース(軍事技術にも応用し得る先進的な民生技術)の先端技術が不可欠であり、それらを有機的に組み合わせながら、軍隊を未来に適合させることが大きな課題になりました。

また、アメリカの高度なシミュレーション技術の重要性は高く、アメリカで検証や使用が始まっているライブ・バーチャル・コンストラクティブ(LVC)にも注目が集まっています。

LVCは、実際の装備品などを用いた現実的(Live)訓練、シミュレーターなどによる仮想的(Virtual)訓練、そしてネットワークやコンピュータの支援に基づく建設的(Constructive)訓練を有機的に統合することで、仮想現実融合空間での戦いを現実のものとします。

さらに、宇宙やサイバー空間の重要性が増大し続ける中で、デジタルツイン(サイバー空間内に現実空間の環境を再現すること)となった仮想・現実空間で戦争が行なわれ、メタマゲドン――メタバース空間から現実世界へとシームレスに波及する究極の戦争が生じ得る可能性が視野に入ってきました。これが戦争の最終形となるかもしれず、人間のいない戦争を前提とした、未来への備えが求められる世界になったのです。

認知領域への攻撃

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