身体の緊張状態を自在にコントロールする方法 トップアスリートは"脱力スキル"を駆使している
東洋経済オンライン / 2024年2月11日 6時50分
その筋肉が強くなることで自分の動きはどのように変わるのか?
これは筋肉をターゲットにしたトレーニングを行う際に、特に重要な問いかけです。
たとえばハムストリングス(もも裏の筋肉)を鍛えようとする場合、それによりパフォーマンスにどのような影響があるかを最優先にするべきです。
そのトレーニングはなんのため?
筋肉をターゲットにした例を出しましたが、そもそもトレーニング方法は目的こそが最優先されるべきで、どのような方法を選択するのかはその次です。
そういう意味では本来、パフォーマンスアップ目的のトレーニングは「筋肉」からスタートするのではなく、競技中に考えうる「動作」から組み立てていくべきです。
どんなに最新のトレーニング方法でも同じこと。「最新だから」「〇〇選手がやって成功したから」「強豪チームがやっているから」、そういった理由でトレーニング方法を選択するのはかなりリスクがあります。
自分が抱える課題はどういったものなのか、その原因はなんなのか、そのトレーニング方法はそれを解決できる特性を持つのか。このような視点が不可欠です。
もちろん専門家でないと判断がつかない領域もあるので、その場合は専門家を頼るほうが結果として近道です。
このように自分の課題とトレーニングの特性を定点観測し、自分で調整していくのはとても高度なことです。しかし、それ以前に、
・トレーニング=筋トレなどの「パワー型」
・不調やケアを予防する解決法=ストレッチや筋トレを行う
だけでは不十分、ということを知っておいてほしいと思います。
もし、今スポーツでハイパフォーマンスが発揮できないとしたら、筋力不足ではなくて「パターン」に原因があるかもしれません。
パターンとは、簡単にいうと動きのクセのこと。たとえば、
・どちらかの脚に体重をかけて立ちがち
・投げるときに肩が力みがち
・蹴るときに腰が力みがち
などが挙げられます。
立っているだけで腰が緊張するのも、立つという動作で腰を固めてバランスをとるというパターンを持っていることを意味します。
このように表現するとよくないもののように感じるかもしれませんが、もちろんいいパターンも存在します。
ハイパフォーマンスを妨げる「パターン」の正体
トップアスリート、特にケガをしない選手は、このパターンが人間の構造から見て非常に効率がいいのです。
トップアスリートたちは脱力が動作パターンに組み込まれており、それゆえ無意識に使いこなせているのです。パターンは複数あり、競技の特性次第ではいいパターンを複数持っていて、状況に応じて使い分けられたりします。
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