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日本酒「"添加物"で伝統的造り方が減少」は問題か 「速醸」が発明されて…「簡略化の功罪」を考える

東洋経済オンライン / 2024年2月11日 12時0分

② 酛(酒母)造り

次に「酛(もと)」を作ります。

蒸した米に麹と水を混ぜ合わせ、酵母を加えます。ここで「純粋な酵母」を成育します。これが酛です。

この酛こそは、「日本酒の大元」ともいえる大事な存在です。「酛で味が8割決まる」と言う人もいるほど、重要なポイントです。

酛は「酒母」とも呼ばれます。まさに「酒を生み出す母」といったところです。

③ 「もろみ」造り・仕込み

次に「もろみ」を造ります。

「酛」をタンクに入れ、米、麹、米を3回に分けて加えるのです(3段仕込み)。このとき、酵母が糖をアルコールに変えます(アルコール発酵)。

3回に分けるのは、酵母が一度に多量の糖を発酵できないことと、雑菌の繁殖を防ぐためです。

甘味、酸味、辛味など、日本酒の複雑で深い味わいは、この発酵の過程でもたらされるものといわれます。

この発酵した状態を「もろみ」といいます。

④ ろ過・火入れ

この「もろみ」をしぼってろ過し、品質を安定させるために低温加熱(火入れ)をして、完成させます。

酒造りは昔から「一麹、二酛、三造り」といわれます。一番大事なものは「麹」、2番目が「酛(もと)」、そして3番目が「もろみ」の発酵ということを表しています。

昔は、この酛を造る作業(生酛造り)が、それはそれは大変だったのです。蒸した米と麹をいくつかの小さな桶に分けて入れて、2~3時間おきに櫂棒でこね回します。これを「山卸(やまおろ)し」といいます。

この山卸しには熟練の技が必要で、何といっても厳寒の中、夜を徹して行う大変な重労働です。

今や「生酛造り」「山廃仕込み」は貴重な存在に

この際に「乳酸菌」が育つのですが、この「乳酸菌」が酒の中の雑菌を全部死滅させてくれるのです。ここで雑菌をしっかり排除しておかないと、純粋酵母が育たず、おいしい酒ができません。

この乳酸というのも、酒造りにおいてなくてはならない要素なのです。だからここで乳酸菌をしっかり育てることがひとつのポイントです。

この山卸しはあまりにも大変な作業であったこともあり、明治時代にこの工程を抜くことになりました。技術の進展もあって、山卸しをしなくても品質に変わりがないことがわかり、「山卸しを廃止してもよい」と政府からのお達しが出たのです。

この山卸しを廃止して作った酒が「山卸廃止酛(やまおろしはいしもと)」、略称「山廃(やまはい)仕込み」です。日本酒好きの人なら、みなさんもこの名前は聞いたことがあるかと思います。

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