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みんな凸凹で当たり前、目指すは"一流のチョコ" 久遠チョコレートは社会貢献ブランドではない

東洋経済オンライン / 2024年2月12日 13時0分

愛知県豊橋市、豊橋駅前のときわアーケード内に本店を構える久遠チョコレート(写真:『温めれば、何度だってやり直せる チョコレートが変える「働く」と「稼ぐ」の未来』)

世界各国のカカオや国内のさまざまな食材を組み合わせ、手作業で作られる色彩豊かなチョコレートが人気の「久遠(くおん)チョコレート」(本店・愛知県豊橋市)。

看板商品の「QUONテリーヌ」をはじめ、オリジナリティあふれる商品には定評があるが、人気作を生み出してきた背景には、従業員約700人が多種多様な人たちで構成されている、という特徴がある。

代表の夏目浩次さんがこだわるのは、障がいや生きづらさを抱える人たちに、単なる「居場所」ではなく「稼ぐ場所」を作ること。

「リアルな所得があってこそ、リアルな生きがいは生まれる」という信念のもと、全国の障がい者の平均賃金約1万6000円という壁を打ち破り、その10倍以上の賃金を支払う「稼ぐ場所」を創出している。

とはいえ、夏目さんは「社会貢献ブランド」をうたっているわけではない。目指すは、ただひたすらに「一流のチョコレート」。

夏目さんの著書『温めれば、何度だってやり直せる チョコレートが変える「働く」と「稼ぐ」の未来』から一部を抜粋、編集し、その思いを伝える。

僕にとって「久遠チョコレート」の商品が自慢なのはもちろんだけれど、もっと誇らしく思っているのは、ここで働くスタッフたちだ。久遠チョコレートの従業員はおよそ700人。その700人は、「QUONテリーヌ」と同じように、多種多様な人たちで構成されている。

【写真で見る】重度障がい者も、特製粉砕機で茶葉の粉砕に励んでいる

働く仲間の約95%は、お菓子作りの未経験者。身体や心や発達に障がいのある人たちが、全体のおよそ6割を占めている。さらには引きこもり経験者もいれば、子育て中・介護中でフルには働けないという女性たちもいる。

障がい者と働くと「感動」がある?

あるとき障がい者のイベントに呼ばれ、ステージに上がって司会者とトークすることをお願いされたことがあった。

事前に流れを見せてもらうと、そこには「障がい者雇用で大変なところはどこですか?」とか「障がい者と日常的に関わり、どんな感動がありますか?」といった質問がリストアップされていた。

福祉関連のイベントだから、ある程度はそういう話も出てくるだろうなという予測はついていた。それにしても、僕らを頭から「社会貢献ブランド」「障がい者の就労支援」と捉えていることに違和感を感じたのも事実だ。

そこで冒頭で「僕らはただのチョコレート屋です」と自己紹介。「大変なところはどこですか?」という問いには、「人は一人ひとり違って凸凹があるのですから、一緒に何かしようとするとうまくいかないこともありますよね」と答えた。

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