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売り上げが50倍に「卵かけご飯」600円のアイデア 愛知県新城市の道の駅「もっくる新城」の戦略

東洋経済オンライン / 2024年2月12日 11時50分

「新城鶏フェスタ」で販売された「鶏とろきのこ汁と五平餅セット」950円(写真:新城鶏学会)

1月20日(土)、愛知県新城市内にある道の駅「もっくる新城」で「新城鶏フェスタ」なるイベントが開催された。同市内の飲食店による鶏肉を使った料理の試食や販売、鶏の半身揚げの早食い競争、ニワトリゆかりの地を訪ねる無料のバスツアーを実施。新城市を「鶏のまち」としてPRした。

【写真】道の駅「もっくる新城」売り上げを50倍にした、半熟卵の「卵かけご飯モーニング」

漬物店の店主から道の駅駅長へ

イベントを企画したのは、2022年11月に鶏料理で地域活性化を目的に結成した「新城鶏学会」の会長で、「もっくる新城」の駅長を務める田原直さんだ。田原さんはこれまでさまざまなアイデアで道の駅の来場者を増やしてきた。「新城鶏学会」については後ほど触れることにして、田原さん自身の経歴から紹介したいと思う。

田原さんは1970年生まれの53歳で、実家は愛知県の北東部にある豊根村の漬物店。大学卒業後は企業や自治体のノベルティ制作会社に就職した。

「3年ほど働き、言葉の通じないところで生活したいと思い、ニューヨークへ半年間ほど行きました。その後、実家の漬物店を手伝っていたら、大学受験に失敗して同じ下宿で浪人生活をしていた友人から国会議員の選挙に出るから手伝ってほしいと言われたんです。選挙で友人は当選し、第一秘書としてサポートしました」(田原さん)

議員秘書となって7年が経った頃、豊根村へ戻り両親から漬物店を継ぐこととなった。ところが、当時の豊根村の人口は約1200人。しかも、その多くは高齢者でまったく商売にならなかった。販路を広げようにも都市部にある漬物メーカーには太刀打ちできず、設備投資などで作った借金だけが膨れ上がっていった。

2011年頃、愛知県高浜市にある「おとうふ工房いしかわ」の石川伸社長から、名古屋鉄道(名鉄)のグループ会社が新城市に道の駅を開設するという話を聞いた。

「『おとうふ工房いしかわ』は、豆腐や大豆を使ったパンやスイーツの製造販売を手がけていて、以前から石川社長にはお世話になっていました。名鉄から道の駅で豆腐の工房を出してみないかという相談を断って、私を名鉄に紹介してくれたんです」(田原さん)

とはいっても、漬物店の店主として紹介したのではなく、土地勘のない名鉄の担当者に新城市や周辺の東三河エリアを案内できる人ということで白羽の矢が立ったのである。しかし、担当者とともに東三河の街を巡っているときに「道の駅の駅長になって地域に貢献してほしい」と頼まれた。田原さんは家業を清算し、道の駅を運営する名鉄ミライートの社員となった。

卵かけご飯モーニングで売り上げが50倍に

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