キーマン明かす「宇都宮ライトレール」成功の鍵 利用者数は100万人を突破、今後の展望は?
東洋経済オンライン / 2024年2月13日 6時30分
2023年8月26日に国内では75年ぶりとなる路面電車の新規路線として宇都宮ライトレールが開業し大きな注目を集めている。宇都宮ライトレール(通称ライトライン)の開業に向けて2015年から路面電車の専門家として陣頭指揮を執ってきたのが、広島電鉄出身の中尾正俊常務だ。宇都宮ライトレールのこれまでとこれからについて話を聞いた。
生活の一部として利用
――宇都宮ライトレールの開業からまる3カ月が経過しました。沿線の方々の反響や利用状況はいかがでしょうか。
開業から82日目となる11月15日には利用者が100万人を突破するなど多くの皆さまにライトラインをご利用いただいており、利用者数は堅調に推移していると認識しています。
通勤客のご利用が定着してきていることに加えて、小学生から大学生までの通学利用だけではなく、保育園・幼稚園などの園外活動、小学生の社会科見学など、さまざまな場面や目的に応じてご利用をいただいており、沿線の皆さまにはライトラインを生活の一部としてご利用をいただいているものと分析しています。
――中尾常務は、もともとは広島市内を中心に路面電車を運行する広島電鉄で常務取締役を務めていました。どのような経緯で、宇都宮ライトレールの常務取締役に就任したのですか。
宇都宮市には今から20年ほど前にライトレールに関する講演で訪問したことがあり、前職の広島電鉄時代から縁がありました。いったんは路面電車の世界からは離れていましたが、2015年の夏に宇都宮市関係者から面談がしたいと電話連絡があり、その後、佐藤栄一市長も広島までお越しいただきました。佐藤市長は私が宇都宮市で講演をしたときのことを覚えておられ、私を宇都宮に招聘する意向を強くお持ちであることを知り、胸が熱くなりました。
宇都宮ライトレールはこれからの日本のまちづくりを変えるかもしれない大事業ということもあって、本当に私でよいのかと自問自答を繰り返しましたが、家族や広島電鉄とも相談したした上で、私の路面電車人生の集大成にしようと妻とともに宇都宮移住を決断しました。
職員の間に情報格差を作らない
――宇都宮ライトレール社長は宇都宮市の元副市長が務めており、ほかの役員の方々も芳賀町や宇都宮商工会議所などの出身者と、路面電車の実務に精通した役員の方は中尾常務だけの印象です。そのような中で開業に向けてどのような役割を果たしたのでしょうか。
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