1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

キーマン明かす「宇都宮ライトレール」成功の鍵 利用者数は100万人を突破、今後の展望は?

東洋経済オンライン / 2024年2月13日 6時30分

路面電車について大きな知見を持つ自分が、状況に応じて効果的に事業の「牽引役」としての役割を果たすことを心がけました。路面電車を運行する軌道事業の業界用語は難しいものが多く、知見の差が出てしまうと議論が深まらないことをいちばん心配したので、自分自身の経験を分かりやすい言葉で表現することを心がけ、職員の間に情報格差を生まないよう注意を払って取り組みました。

また、新規に軌道施設の整備や運転業務などの準備を詳細に行うため、それぞれのスペシャリストに宇都宮まで来てもらい準備を進めました。

――宇都宮ライトレールは、日本の路面電車では75年ぶりとなる新規路線ということでも注目を集めています。新規路線ならではの大変さはどのようなことがあったのでしょうか。

宇都宮のある北関東はクルマ中心の社会で路面電車というものに馴染みのない地域であったことから、住民に対する公共交通の必要性の説明から始める必要があったことでした。こうしたことから、特に「住民理解の醸成」には、宇都宮市と芳賀町との連携のもと気を使って事業を進めてきました。

――公共交通の必要性についてはどのような観点から住民の理解を求めたのでしょうか。

年齢を重ねていくと自分でクルマの運転をすることも難しくなることから高齢化社会が進んだ先には、自分の力で行きたい場所に行けなくなる人がたくさん出てきます。そうした不安を「自分ごと」として感じてほしいと思い、宇都宮でも起こりうる問題だと住民の方には何度も何度も語りかけました。 

初めのうちは漠然としか伝わらない空気もありましたが、各所で説明会を重ねるにつれ、徐々に住民の雰囲気が変わっていきました。参加者の方がクルマの運転ができなくなった時のことについて危機感も広がり、住民のほうでも何か行動をおこさなければいけないと参加者の表情も変わっていきました。

説明会のほかには、パンフレットの全戸配布や大型商業施設ベルモールでのパネル展示も実施し、ライトラインは「ランドマーク」としてまちの魅力を高めるための装置となることにも理解が得られるように取り組みを行いました。

――しかし、宇都宮ライトレールでは建設反対運動も起こり、開業までには様々なハードルがあった印象があります。

建設に反対されている方とも説明会では膝を突き合わせてお話をさせていただきました。高齢化問題と公共交通問題は避けては通れず他人事ではないこと。超高齢化社会の到来が迫りつつある中、今後は運転免許の返納者数は増え外出したくても外出できない高齢者が増加することが予想されます。そうしたことから、分かりやすく利用しやすい都市交通の重要性がより一層高まるということを何度も訴えかけました。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください