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キーマン明かす「宇都宮ライトレール」成功の鍵 利用者数は100万人を突破、今後の展望は?

東洋経済オンライン / 2024年2月13日 6時30分

さらに、百聞は一見に如かずということで、宇都宮市とも連携をしながら富山市で実際のライトレールを見ていただく機会を設けるなど、ライトライン建設への理解が得られるように取り組んできました。

――宇都宮駅東口―芳賀・高根沢工業団地間14.6kmの建設には、当初予定していた約458億円から、地盤改良や豪雨対策の強化などを理由に約684億円に増加し批判を招きました。

一般的にLRTの建設費はキロあたり約30億円と言われていますが、ライトラインの場合は高架構造物が多くキロ当たりの建設費は約47億円と上振れしました。

しかし、一方で道路建設費についても決して安いわけではなく、国道119号のバイパスである宇都宮北道路約5kmの建設には約500億円かかっており、キロ当たりの建設費は約100億円に上ります。ライトラインの輸送力と自家用車の輸送力を比較すると大きな差があり渋滞解消にも役立っていることから、こうした輸送効率を考えるとライトラインの建設費だけが決して高いとは言えません。

ライトラインの開業前には、鬼怒川にかかる柳田大橋が、朝、工業団地への通勤者で慢性的な渋滞を引き起こしており、宇都宮駅から芳賀町内まで1時間以上かかることも多い状況でした。こうした渋滞の解消にもライトラインは一役買っています。

「歴史の当事者になりたい」と運転士が集まる

――2022年11月19日には試運転電車で脱線事故も発生しました。

脱線事故のときは私自身も事故復旧や対策内容の検討にも当事者の一員として関わりました。少しでも住民の方々の不安を解消し引き続き事業を応援していただけるように、情報を隠すことなく全面的に公開しました。

――日本各地のバス・鉄軌道事業者で運転士不足が深刻化する中で、宇都宮ライトレールだけが運転士の募集が順調だったと聞きました。なぜでしょうか。

日本国内では75年ぶりとなる路面電車の「新規開業」のインパクトが大きかったと考えています。こうした「歴史の当事者」となるべく全国から熱い心をもった職人たちが期待に胸を膨らませて宇都宮に集まってくれたのだと感じています。

――宇都宮ライトレールが誇りをもって働ける職場だと感じた方が多かったということでしょうか。

そうです。給与面については、ほかの軌道事業者や地元の民間企業等の実績を参考に設定していますが、ライトラインで「新たな道を拓きたい」と、積極的で前向きな社員が集結してくれました。さまざまな困難にめげず、開業までこぎつけてくれた社員一同は、今では日本一の軌道事業軍団だと自負しています。

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