KDDI、「ローソン5000億出資」に浮かぶ2つの懸念 三菱商事とは"折半出資"、見えづらいリターン
東洋経済オンライン / 2024年2月13日 7時10分
過去最大のM&Aは、吉と出るか凶と出るか。
【写真で見る】2月6日の会見の様子。3社の社長がそろって登壇した
2月6日、KDDIと三菱商事、ローソンの3社は合同で記者会見を開き、ローソンの株式を三菱商事とKDDIが50%ずつ保有する「共同経営」体制へ移行すると発表した。
現在のローソンは、50.1%の株式を保有する三菱商事の上場子会社だ。KDDI(保有比率2.1%)のほか、NTTドコモ(同2.1%)や一般投資家なども株主に名を連ねている。
KDDIは2024年4月をメドに、ローソン株のTOB(株式公開買い付け)を開始。三菱商事はTOBに応募せず、その他株主が保有する株式を買い付け、三菱商事の保有分と合わせて3分の2以上の取得を目指す。TOB成立後、スクイーズアウトの手続きを経て、9月ごろにも共同経営体制に移る見通しだ。
一連の手続きによってローソンは上場廃止となり、三菱商事とKDDIの持ち分法適用会社になるという。
大型M&Aの可能性は噂されてきたが…
TOB価格は1株当たり1万0360円で、発表前日の終値(8721円)に対して19%のプレミアムが付く。KDDIが投じる資金の総額は約4971億円に上る。
これまでKDDIにとって最大のM&Aは、2010年に約3割を出資し、2013年に子会社化した大手ケーブルテレビ、J:COMだった(投資額は約3600億円)。今回はそれを上回る、過去最大の規模となる。
「時代の変革期なので、思い切った投資を決断した」。KDDIの高橋誠社長は会見でそう語った。
利益剰余金が約5.4兆円にまで積み上がる中、KDDIが大型M&Aに打って出る可能性は、かねて通信業界でささやかれてきた。しかしまったく異業種のコンビニへの出資には、競合の通信キャリアからも「驚いている」(ソフトバンクの宮川潤一社長)との声が上がった。
今回の提携をめぐる話が浮上したのは2023年5月、三菱商事側からの提案がきっかけだった。背景には、ローソンが直面していた課題がある。
ローソンの国内店舗数は約1万4600と、首位のセブン-イレブン(同2万1500)、2位のファミリーマート(同1万6400)に次ぐ3番手。コンビニ1店舗当たりの売上高を示す平均日販(全店)では、セブン-イレブンの67万円に対しローソンは52万円(いずれも2023年2月期実績)と、大きく水をあけられている。
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