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「囚われた人々」奪還へ突き動かすイスラエルの教え どんな大きな代償を払っても人命を救う理由

東洋経済オンライン / 2024年2月13日 20時0分

「ピクアフ・ネフェッシュ」(直訳すると「命の監視」)と呼ばれ、あらゆる戒律に勝って最優先される考え方だ。その背景には、何度も民族存亡の機に直面してきたユダヤ人の苦難の歴史がある。

ハマスの奇襲攻撃の翌日にイスラエルが宣戦布告した際、戦争目標を3つ掲げている。①ハマスの壊滅、②人質全員の解放、そして③ガザ地区におけるテロの脅威の排除だ。

最近のイスラエルの世論調査によると、ガザ戦争の優先順位に関して、国民の49%は人質奪還が第1目標だと回答し、32%がハマス打倒と答えている。ハマスを打倒するために戦闘を続けるべきなのか、人質奪還のために休戦を受け入れるべきなのか、イスラエル社会はこのジレンマに揺れ続けている。

戦争が100日を超えたあたりから、戦闘の継続よりも休戦を訴える声が大きくなりつつあった。人質の情報を断片的に出して揺さぶりをかけるハマスの作戦が奏功していると言えよう。

2024年1月半ばには、IDFの主要戦闘部隊の一部がガザ地区から撤退した。広域な地上戦から、ハマス幹部が潜み人質が監禁されている地下トンネルの戦いに戦闘のフェーズが移りつつある。そんな中、今回2人の人質奪還というニュースが飛び込んできた。

今回の作戦は、戦闘継続が人質奪還につながるという1つの傍証となるだろう。ネタニヤフ首相が一貫して「絶対的な勝利を得るまで、戦いをやめることはない」と明言しているとおり、よほどのことがない限り、3つの戦争目標を達成するまで今後もイスラエルが戦いをやめることはないだろう。

しかし今後は、人的被害を最小限に抑えつつ、より限定的な作戦に移行していくものと思われる。

134人の人質奪還に向けて

IDF報道官は、人質2人奪還という喜ばしいニュースを伝えた後、次のように付け加えた。

「今朝の喜びの中でも、われわれは、ガザに今も134人が拉致されていることを忘れてはいない。あなたたちがもしこれを聞いているなら、私は人質となっている方々に呼びかける。われわれは、あなたたちを何としても取り戻す。そのためのあらゆる機会を逃すことはない」

解放された人質が、ラジオやテレビに接する機会があったと証言していることから、今あらゆるメディアで人質に向けて家族などが励ましのメッセージを発している。

一方で、今も毎日のように戦死したIDF兵士の訃報が報じられている。人質の解放とハマスの打倒、自国兵士の犠牲と今も断続的に続く多方面からの攻撃といった、あらゆるジレンマの中で、イスラエルは困難な闘いを余儀なくされている。

谷内 意咲:ミルトス代表

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