欧州から来た彼がスーパーのバナナに見た意識差 日本の過剰包装を再考する時期ではなかろうか
東洋経済オンライン / 2024年2月14日 12時20分
私は現在、大学院に在籍しているが、ある日、ベルギー人の交換留学生ロビンさん(22)がこんなことを言った。
【写真で見る】海岸に打ち上げられた赤ちゃんクジラの胃からはプラスチックの破片が見つかって…
「昨年9月に来日して一番驚いたのは、スーパーマーケットで売られているバナナにもプラスチック包装がしてあることだった」
確かにヨーロッパではよく、野菜や果物は包装なしで平積みされ売られている。日本で売られているプラ包装付きバナナに違和感を持つのはわかる気がした。
スーパーで理由を聞いてみた
そこで後日、近所の大手総合スーパーのサービスカウンターで、顔なじみの従業員に、バナナはいつ頃からプラ包装をして販売しているのかを聞いてみた。
すると彼女が働き始めた20年以上前から、すでにそうしてあったという。その理由についても聞くと、しばらく考え込んだ末に、担当者に電話を掛けてくれた。数分後に教えてくれた理由は2つ。
まず昔は卸業者から大きなバナナの束を仕入れ、スーパーの内部で切り分けて販売していた。しかし、その作業をいつしか卸売業者が代行するようになり、さらにプラ包装してからスーパーに卸すようになったからだという。
もう1つは「若干、商品の傷みを防ぐことができる」との回答で、スーパー側にとって個包装はメリットが大きいとわかる。
とはいえ、日本におけるあらゆる製品のプラ包装は、環境問題に敏感な欧州人にとって明らかに「過剰」と映る。
バナナはあくまでも1例に過ぎず、ロビンさんはコンビニで提供されるプラスチック製スプーン、飲食店で出される簡易お手拭きのプラ包装も「理解できない」と語る。
そして果物や野菜の個包装についても「日本人は衛生面を気にしているかもしれないが、水で洗えばいい」と言った。
プラスチックは、融通無碍に形を変えられるため、生活用品から工業製品までさまざまな用途に使われている。しかも安価で耐久性があるため、社会に深く浸透している。
プラスチック原料は主に原油で、生産および焼却段階で二酸化炭素を排出し、地球温暖化の原因となる。
プラスチックごみによる深刻な海洋汚染
またプラスチックが持つ耐久性という長所は、適切に廃棄されないと欠点に変わる。
その象徴の1つが海洋汚染だ。2016年の世界経済フォーラム(WEF)では、海洋中に存在するプラスチックの量は2050年に魚の量を上回るとの試算が報告された。
日本では2018年、鎌倉市由比ヶ浜の海水浴場に赤ちゃんクジラ(体長約10メートル)が打ち上げられた。赤ちゃんだから母乳しか飲まないはずなのに、その胃からはプラスチック破片が見つかった。
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