欧州から来た彼がスーパーのバナナに見た意識差 日本の過剰包装を再考する時期ではなかろうか
東洋経済オンライン / 2024年2月14日 12時20分
いかに大量のプラスチックが海洋に浮遊しているかを示唆しており、人々に衝撃を与えた。
プラスチックは紫外線や波などによりマイクロプラスチック(5mm以下)になるが、自然界に残り、海洋生物などに悪影響を及ぼす。魚などの海洋生物が摂取すると、人間も間接的に取り込む可能性がある。
人への健康への影響は正確にはわかっていないが、何となく気持ちが悪い。途上国では、不適切なプラスチック袋の廃棄が下水をせき止め、蚊などの繁殖地となってマラリアなど伝染病発生のリスクも懸念されている。
プラごみをどう減らすか
では、プラごみを減らすためにどうすべきか。
国は2022年4月にプラスチックごみの削減やリサイクルを促す「プラスチック資源循環促進法(プラスチック新法)」を施行した。企業は環境に配慮したプラスチック素材の使用や設計が求められ、自治体もプラごみの適正な処理を徹底しなければならない。
企業がプラスチック使用量を減らし、自然由来の素材に代替していく動きはすでにある。
バナナの例で言うと、青果大手ドールは一部のスーパーでバナナを量り売りし、紙袋での提供を開始している。また飲食店では紙製のストローや、木製のスプーン・フォークといったカトラリー類が徐々に提供され始めている。
ファミリーマートは1月29日から、プラスチック使用量とCO2を削減するために、100の直営店で、無償提供してきたプラスチック製のスプーンやフォークなどの有料化を導入した。
また世界188カ国で事業を展開するネスレは、日本で2019年から「キットカット」の大袋の外装を紙に変え始め、2020年にほぼ完了した。
同社は2025年までにバージンプラスチック(未使用のプラスチック原料)使用量の3分の1削減や、プラスチックパッケージの95%以上をリサイクル可能にする取り組みを実施。
「紙外装への変更は、包材や設備投資などのコスト上昇を伴うものの、こうした取り組みの一環である」と説明する。
日系企業の動きは「遅い」
一方、日系企業が製造販売する商品の外装は依然として、プラスチックが占める。フィンランドの国際的な製紙会社UPMの日本代表を務める富永達之助氏は、日本企業が紙などの自然素材に替える動きについて「欧州などと比べると遅い」と指摘する。
それは「コストマインドが高く、国内の環境への意識もまだ十分高まっておらず、再生紙やバイオプラスチックに関する情報も不足している」からだという。しかし、今後は「環境への配慮が一層進み、持続可能な素材への転換が進むことが期待される」と語った。
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