大量閉店「イトーヨーカドー」どこで間違えたのか 時代の波についていけず、戦略の変更も遅れた
東洋経済オンライン / 2024年2月14日 9時30分
GMS大手の「イトーヨーカ堂」が、北海道と東北、信越にある「イトーヨーカドー」の全17店舗を、今春から順次閉店することがわかった。
近年、GMSは苦境を強いられており、特に地方立地店舗では郊外型店舗への客足流入などで苦しい状況が続いている。撤退店舗の半分は譲渡先の企業が決定したというが、まだ半分は譲渡先が決まっておらず、もし完全閉店となれば、買い物難民が生まれる恐れもある。
一時は日本を代表するGMSとして名を馳せたヨーカドー。そんなGMSの王者は、どこで道を誤ってしまったのか。今回は、ヨーカドー拡大の歴史を追いながら、その立地戦略に注目してヨーカドー苦境の理由について迫っていこう。
ヨーカドーの前身は「羊華堂洋品店」
ヨーカドーの前身である「羊華堂洋品店」は1920年、東京・浅草に誕生した。創業者は吉川敏雄で、後にヨーカドーを立ち上げる伊藤雅俊の叔父にあたる人物。太平洋戦争ののち、この洋品店を引き継ぐ形で、雅俊は足立区・千住で羊華堂の事業を再開する。
1948年に法人化、1965年に株式会社・伊藤ヨーカ堂を設立し、店名もイトーヨーカドーとする。折しも日本は高度経済成長期の只中にあり、その中でヨーカドーは出店攻勢を続け、大きく営業を拡大していく。
1970年代には業務提携に積極的に動き、札幌の「山の手ストアー」や長岡の「丸大」、平塚の「ダイクマ」などと手を組み、こうした提携を通して、特に関東、東北、北海道にその店舗を集中させていくやり方で成長を重ねていく。
そのやり方は同時期にGMSとして拡大を続けていたダイエーと比べると特徴的だ。『総合スーパーの興亡』(三品和広・三品ゼミ著/東洋経済新報社)では、「拡大のダイエー」に対して「集中のイトーヨーカドー」と書かれている。
出店地を慎重に選び、なおかつ近隣地域に多数出店するドミナント方式を選択することで、その地域でのプレゼンスを上げ、存在感を高める方式を選択していたわけである。
イトーヨーカドーの立地は基本的には「駅前出店」を柱としている。駅前の一等地に大きく建物を構え、駅前集客を狙うやり方である。そのため、かつては出店にあたって地元商店街や地域の小売店ともトラブルになるケースが多く、1986年には『イトーヨーカドー残酷物語』なる書籍まで出版されるほどであった。
業界トップに躍り出た「イオン」
とはいえ、すでに多くの論者が指摘している通り、現代での移動手段は、鉄道から車に移り変わってきている。特にモータリゼーションの文脈でいえば、戦後から現在に至るまで自動車保有台数は増加の一途をたどっており、車社会化の進行が著しい。
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