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「1社だけ異質な計画」サントリーがジン強化の訳 レモンサワー的な位置付けを狙っていけるか

東洋経済オンライン / 2024年2月14日 13時10分

サントリーが手がけるジン「翠」(左)とROKU(右)(写真:サントリー提供)

大胆な投資ははたして吉と出るかーー。サントリーは2月7日、スピリッツやリキュールの生産を手がける大阪工場に55億円を投じ、ジンの生産能力を2倍に増強すると発表しました。6年後の2030年には、国内ジン市場を2020年比で6倍以上、2023年の2倍以上となる450億円規模に拡大させるとぶち上げました。

毎年1月半ばは、国内大手ビール4社が事業戦略を打ち出しますが、今回は全社既存ブランドの刷新を行い、ビール事業への投資を加速させると発表。また、チューハイを中心とするRTDにも注力する姿勢を示しました。

そんな中、ジンという蒸留酒を強化するサントリーの戦略は他社とは明らかに違うアプローチに見えます。これにはどんな背景や、意図があるのでしょうか。

酒類・飲料ではサントリーがナンバーワン

国内大手ビール会社と書きましたが、実際のところは各社ともビールだけでなく、ワインや洋酒、ミネラルウォーターやコーヒーなど幅広く手がけています。ビールの国内販売数だけで見ればアサヒが1位ですが、ビール以外の酒類、飲料も合わせた売上高はサントリーが大手の中で一番高いことはもっと知られていい事実でしょう。

各社の事業およびブランドポートフォリオを比べると見えてくることがあります。海外のブランドを多数買収してビール事業を中心に海外比率の高めているアサヒ、ヘルスサイエンス領域に強みを持つキリンと各社成長分野と見据えるところは異なっているのです。

サントリーに関して言えば、2014年にアメリカのビーム社を買収して世界第3位の蒸留酒メーカーになっており、上記2社と違って蒸留酒の製造・流通・販売にアドバンテージがあります。

現在、日本産ウイスキーが世界的に需要が高く、サントリーの山崎、白州、響も例外ではありません。これらは品薄状態が続き市場では定価を上回る価格で流通することも常態化しています。こういった状況をSNSで見かけた方も多いことでしょう。

世界的なジン人気を受けて、ジンを強化

ウイスキー人気が高いため、そちらに目が行きがちですが、サントリーは2000年代後半から続く世界的なクラフトジンの人気を受けて新たなブランドのジンを手がけてきており、2017年には「ROKU」、そして、2020年に「翠(すい)」、2022年3月にはソーダで割った「翠ジンソーダ缶」を発売。同商品は初速から好調で、販売開始から数週間で年間計画の6割を達成するほど人気となっています。

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