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山崎元、余命宣告されて伝えたかった「幸福」の正体 「豊かさ・お金」と「自由」があればいいのか?

東洋経済オンライン / 2024年2月15日 14時0分

大まかには左回りだ。金融マンとしての後半(外資系証券会社に転職以降)は、そう楽しいものではない時期があった。評論家比率が増えて自由度が増してから楽しくなった。

お金では買えない「ナチュラルに」モテる状態

いくつかの「基準」の組み合わせを試して考えてみた。

すると、一点「モテ具合」という項目が異質で、どうやら妙に重要らしいことが分かった。

各種の経験や豪邸の所有のような自由はお金で買える。名声も買えないことはない。ある種の人間関係までもお金で買えないことはない。

しかし、ナチュラルにモテるという状態をお金で買うことは、難しい。そして、「ナチュラルに」モテているのでないと、本人はかえって精神的に屈折してしまう。

父の観察はどうしても男性に偏るが、有名人や世間的には成功者でも、「この男はモテなくて性格がひねくれた」、「この男は若い時にモテなかったので、こじれた性格になった」と思わせる人物が実に多い。実名は挙げないが、あの人も、あの人も、モテなかったおかげで性格が歪んでしまったことが手に取るように分かる。

父自身は、20代、30代の切実にモテたかった時期にモテなかった悔しさをそれなりに味わっている。だが、「モテない」の度合いは幸い性格を歪めるほどにはひどくなかった(と思っているが、どうだろうか?)。

その後「モテ」が生理的にそれほど切実でなくなってから、状況が少し改善した。従って、「モテない男」の気持ちはもともとよく分かるし、「モテる男」の気持ちもほんの少しだけ分かるようになったつもりでいる。

女性において「モテ」がどれくらい大切なのかは、実感としては分からない。だが、たぶん、男性の場合に近いくらい重要な要素なのだろうと推測できる。

NHKに『ダーウィンが来た!』という番組がある。さまざまな動物の生態が紹介されるのだが、生まれて、厳しい環境をくぐり抜けて運のいい個体が成長し、ほぼ生殖の相手を得るためにだけ競争して死んでいく。特に雄はそうだ。人間もこれに近いのではないか。

モテない男は幸せそうに見えない。

人間の幸福感は「モテ」にかなり近い場所に根源があるらしいが、別の例を考えてみよう。

経済原理性に優先する大きな価値とは

よくある疑問だが、「経済学部の最優秀に近い学生は、実業界に就職したら大いに稼げるだろうに、どうして経済学者を目指すことがあるのだろうか。それは、経済原理に反していないか?」。

論理の上では、効用関数は融通無碍なので「経済原理に反する」ということはないのだが、不思議な現象ではある。

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