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ロードスターを「ヤバいクルマ」と思ったワケ 8年ぶり大幅改良はユーザー想定外の出来栄え

東洋経済オンライン / 2024年2月15日 11時40分

ロードスターは、ソフトトップだがエンジンは2.0リッター。マツダ幹部らによれば「量産を前提に鋭意開発中だが、社内ではどこまで(パフォーマンス系に)振るかを議論しているところ」と量産に向けた本気度を示している。

ロードスターは、RFを含めて、あくまでもライトウェイトオープンスポーツカーであり、ハイパフォーマンス仕様を望むユーザーは少ないと思う。

だが、ロードスターというクルマの「間口の広さ」や「さらなる進化の可能性」という意味で、RF RSやさらにその先のハイパフォーマンス仕様の存在は、ロードスター全体の進化にとって重要な意味があるものだ。

これまで長きにわたり、ロードスターの進化を肌感覚で捉えてきた者として、そう思う。

次に、ソフトトップのSに乗った。ハンドリングと走り味は、全体として「引き締まった」印象だ。「キビキビ動く」とか「すっきり動く」といった単調な表現ではなく、あくまでも「引き締まった」である。

「人馬一体」感の進化としては、先に乗ったRF RSに比べると、正常進化という印象だ。改良前と比べて車重は増えたが、それが走りの中でネガティブ要因として感じるシーンは特になく、軽快な走りを見せた。繰り返すが、クルマが「引き締まった」のである。

なぜ、今「大幅改良」なのか?

ここで試乗をいったん終えて、マツダ関係者との意見交換の場面に話を移す。

齋藤主査は開口一番「(今回の大幅商品改良の)トリガーは、今年7月までに実施しなければならないサイバーセキュリティ法への対応だ」と指摘した。

サイバーセキュリティ法とは、国連欧州経済委員会の自動車基準調和世界フォーラム(通称WP29)の分科会で議論されてきた法基準だ。

これに対応するには、既存車は車載電子システムを抜本的に見直す必要があり、そのコストはフルモデルチェンジに相当する多額を要する。ポルシェは、SUVの「マカン」ガソリン車の生産中止を決めるに至ったほどだ。

ロードスターの場合、「CX-60用の最新電子プラットフォームをそのまま移植した」という。ただし、この最新電子プラットフォームだけで、車重は10kg増。

「グラム戦略」と言われる、各部品の軽量化をグラム単位で追求してきたロードスターにとって大きなネガティブ要因である。

それでも、4代目ロードスター(ND)を「できるだけ長く売りたい」という、齋藤主査をはじめとしたマツダの思いから、サイバーセキュリティ法の壁を超えることを決断したのだ。そのうえで、以前から温めてきたさまざまな改良をこのタイミングで一気に実現させた。

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