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アップルの「Vision Pro」発売は"時期尚早"なのか 未成熟、利益貢献は先でも今投入すべき理由

東洋経済オンライン / 2024年2月15日 7時0分

筆者が渡米して入手したApple Vision Pro。斬新な体験は未来を垣間見せるものだが、現状は製造コストも常識外に高いと推測される(筆者撮影)

アップルが「世界初の空間コンピュータ」と位置付けるApple Vision Proが2月2日に発売された。筆者を含め、実際に製品を手にした者が口を揃えるのは、(いつになるかはわからないが)この製品の先にコンピューティングの未来がある、という確信だ。

【写真で見る】Apple Vision Proを通して見える空間。表示品質や音響性能は極めて高い

同じような確信をより抱いているからこそ、アップルはこの端末を世に出すことに決めた。

では、アップルが踏み出した一歩は、テクノロジー業界にどのような影響を及ぼすのだろうか。グローバルで、さまざまな化学反応へとつながるのだろうか。

これから何が起きるかは、アップルのティム・クックCEOも見通せてはいないだろう。しかし、どんな意見をぶつけられようとも、彼らは最終的な目的地へとたどり着けると信じているようだ。

現状すべての消費者には勧められない

アメリカに飛んで実機を入手した筆者は、いち早くその実力を試している。正直なところ、現時点ではすべての消費者に勧められるほど成熟した製品とは言えない。

優れたユーザーインターフェイスや高い表示品質、音響性能などには驚かされるものの、現時点でのアプリケーションは既存のVR/AR端末で見られたアイデアの“焼き直し”が多いことも事実だ。先進性や将来性は明確に感じられるが、その一方で従来製品を大きく逸脱し、新しいジャンルを確立するほどの応用例を提案しきれていない。

こうしたことから、Apple Vision Proの市場投入を“時期尚早”と断じる声も聞こえてくる。

しかし、時期尚早の今だからこそ、アップルはできうる限りの洗練を重ねたうえで、少し先の未来を見せるために投入した。彼らが誘っているのは、世の中を変えるアイデアを持ち、次の世代を担う開発者やクリエイターたちだ。

実は「空間コンピュータ」というアイデアについて、最初に世の中に問うたのはアップルではない。真っ先に空間コンピュータの開発に取り組んできたのはマイクロソフトだった。

HoloLensと名付けた自社開発のハードウェアを伴うプロジェクトは解散したマイクロソフトだが、Apple Vision ProにはオフィススイートのMicrosoft 365を初日から対応させた。その中に含まれるTeamsのほか、シスコシステムズのWebex、Zoomなど、オンライン会議ソフトは製品リリースの初日から用意されている。

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