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能登半島地震、防災対策の権威が語る「反省と教訓」 防災と初動対応が遅れた背景に2つの原因

東洋経済オンライン / 2024年2月15日 7時50分

同部会で被害想定の見直しをしようとしていたことは事実です。

2020年12月以降の奥能登の珠洲市一帯での群発地震をきっかけに、いずれ大きな地震が起きるという緊迫感が芽生えていました。

それを踏まえ、国の地震調査研究推進本部による長期評価や被害想定が出されていなくても、石川県として能登半島でこれから起きる地震の想定をしっかりやろうということで、2023年から議論を始めていました。

しかし、結果的には作業が間に合わなかった。

国の評価を待つという受け身の姿勢だった

――石川県の幹部の発言として、国の長期評価の策定・公表を待ってから対策をするという姿勢が長く続いていたという報道があります。その点についてどのように感じていましたか。

結果論ですが、そのような待ちの姿勢ではいけなかった。県域のどこにどのような活断層があり、どのくらいの確率で動くかについて、国の長期評価の策定を待ってから対策を話し合うという姿勢が、今回の地震で問われた。

他方で国土交通省が2014年9月に取りまとめた「日本海における大規模地震に関する調査検討会」の報告書では、能登半島沖に活断層があり、津波被害を起こすことが指摘されていました。

ただ、石川県においては、どの活断層がどのように連動するか否かについては、国の科学的知見の発表を踏まえて検討すればいいという姿勢でした。その結果として、地震被害の想定の抜本的見直しが遅れてしまいました。

国のトップダウンに基づく防災ではなく、地方自治体から動くボトムアップの防災に切り替えるには、自ら独自に積極的に被害の想定をしなければならない。

加えてもう一つ問われていることが、社会の前提条件がどんどん変わってきているということです。その社会の変化を想定に反映しなければならない。高齢化や過疎化が進んでいる中で、四半世紀も被害想定の見直しを放置していたということ自体、間違っていたと思います。

――政府の初動態勢をどのように評価していますか。

マグニチュード7.6(暫定値)というのは、阪神淡路大震災(兵庫県南部地震)や熊本地震よりも大きな地震が起きたことを意味しています。そうだとすると、多くの家屋が倒壊し、たくさんの人が生命の危機にさらされていることは、直後に想像できたはず。

これからは、現地からの報告を待つのではなく、直後に公表される地震の大きさや形状によって、初動対応のスイッチを入れるようにしなければならない。

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