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能登半島地震、防災対策の権威が語る「反省と教訓」 防災と初動対応が遅れた背景に2つの原因

東洋経済オンライン / 2024年2月15日 7時50分

たとえばマグニチュード7.6であれば、道路が寸断されているということを想定して、海や空からの救助にも早急に着手すべきです。

従来の緊急消防隊の派遣のシステムのまま動いていたのでは、救助活動はうまく進まない。繰り返しになりますが、地震発生直後の情報把握のシステムおよび初動対応のシステムを抜本的に見直さなければいけない。

モデルにすべきは中越地震時の「山古志方式」

――地震発生直後には避難所が開設され、2月3日には仮設住宅への入居が始まりました。

地震を生き延びた人が、その後の健康状態の悪化などによって死亡する「災害関連死」を防がなければならない。そのためには、人々の1日1日の苦しみをいかに和らげるかが重要です。もう一つ重要なことは、苦しみの期間をいかに短くできるかです。

国の災害救助法のルールに基づけば、避難所の開設は原則1週間、応急仮設住宅は本来、20日以内に着工しなければならない。

ただ、現実を見ると、いずれもだいぶ日数がオーバーしている。仮設住宅については1~2カ月遅れでの着工という事態が生じています。

被災者の苦しみの総量を下げるためにも、迅速に仮設住宅を供給しなければならない。そういう意識をどれだけ持って取り組んでいるのかということが問われています。

――石川県の発表によれば、応急的な住まいについては3月末までに約1万5000戸を用意する計画です。仮設住宅の提供のあり方についてはどのような配慮が必要でしょうか。

モデルにすべきは、2004年の新潟県中越地震の時の「山古志方式」だと思います。

被害の大きかった旧山古志村(現・長岡市)の住民のために長岡市内に仮設住宅団地が作られ、そこに山古志村の人たちはコミュニティ単位で入居しました。そして旧山古志村では2~3年かけてがれきの撤去や道路の整備が実施され、再び住民が帰還できました。

今回も金沢市のスポーツセンターの敷地に1万棟くらいの仮設住宅団地を作り、コミュニティごとに入居するといったような取り組みがあってもいいのではないか。

そこに高校の分校や輪島塗りの工房も一緒に作るといったやり方をすれば、コミュニティを維持できます。

――石川県の計画では、約1万5000戸のうち、約8000戸を石川県外の公営住宅によって賄うということになっています。

人々がばらばらになってしまうので良くない。孤立死をもたらすことになりかねない。なるべく多くの人たちがまとまり、お互いにつながり合うことが重要です。

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