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UFJ「根回しやめます」と、私が見た大企業のリアル なんとなく全員で決める文化が長い会議を生む

東洋経済オンライン / 2024年2月15日 17時30分

ところで、私はコンサルタントという職業柄、さまざまな会社にお邪魔する。そして、サプライチェーンや調達部門の支援を専門にしているものだから、どの外部企業を採用するか決定会議の場に参加する場合が多い。

過去の経験を交えながら、「日本で、会議時間が長くなりがちな理由」を、3パターンから綴ってみたい。

私の現場経験から①なんとなく全員で決める文化

ある商品パッケージを決める際のことだ。取引先Aの案1、取引先Bの案2、取引先Cの案3……と次々に見せられたのだが、まったく違いがわからない。「正直、どれでもいいんじゃないですか」くらいしか思えない。しかし、会議の参加者はあれこれ注文をつけたり、ときにやり直しをお願いしたりする。

あとで、参加者に聞いてみると「実はそれほどわかんないけど、なんか言わなきゃいけないでしょ」と正直に教えてくれた。日本企業では一人の強い決定者が不在のケースが多い。なんとなく全員で意見を出し合って決める。だから、(とくに上位者は)参加した以上、なんかそれっぽいコメントを言わねばならない圧力を受ける。

以前、あるビジネスパーソンと話していると「上司に見せるときには、わざと一箇所のみ穴を作っておきます。すると、そこだけに指摘時間が費やされるから楽でしょ」といっていた。

ここまでくると、もはや策士というかハッカーである。

彼は「さらにいえば、指摘されても修正しなくてもいいですよ。何も修正せず同じ資料を見せても『前より良くなった』と上司が言う場合がありますから」と笑った。しかし、笑うところではなかったかもしれない。

ところで、「なんとなく全員で決める文化」は製造業の文化から来ている。ものづくりで品質改善を試みる場合は、たしかに全員参加主義がうまくいく。

この国では「俺は聞いてないぞ」が誰かの意見の反対表明として使われてきた。聞いていないことと、それが間違っていることは無関係のはずだが、全員参加主義ならば、全員に伝えていないほうが悪とされた。

私の現場経験から②メンバーシップ型と人材流動性の低さ

近年、よく言われる「メンバーシップ型」と「ジョブ型」という対比がある。

メンバーシップ型では、企業集団の組織に入ってもらって、雑事や人間関係を含め仕事のスキルを磨いてもらう。ジョブ型では、個々人が仕事でなすべき目標と内容が規定され、ジョブディスクリプション(職務記述書)に従って仕事をする。

一般的には上記のように考えられている。そして、伝統的に「メンバーシップ型」である日本は、さまざまな判断に人間関係が影響してくる。それゆえに会議時間も長くなるし、根回しの必要性も生じると。

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