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「能天気な人」と誤解されてしまう危ういクセ 「人とは笑顔で接する」が常に正解とは限らない

東洋経済オンライン / 2024年2月16日 7時0分

次に、度が過ぎるポジティブについて考えましょう。一般的には、能天気、気楽、何も考えていない人のこと指す印象があります。表情というより、思考パターンや日々の振る舞いによって、こうした印象を与えているのだと思います。

ポジティブ感情は、思考を拡散的にしてくれるため、アイディアの創出などにもってこいです。これまでのやり方ではうまくいかないとき、打開策を見出してくれるのはポジティブさです。

しかしアイディアが出たら、ポジティブにはちょっと落ち着いてもらいます。なぜなら、アイディアを着実な形にしてくれるのは、ネガティブ感情だからです。ネガティブ感情は、収束的な思考、注意深さ、細かな作業に向いています。

例えば、恐怖感情があるから、「失敗しないように」と綿密な計画を立てたり、幾重にも保険をかけたりするのです。怒り感情があるから、「何クソ!」と障害があってもそれを乗り越える原動力が生まれるのです。

「大丈夫っしょ」「何とかなるでしょ」と余裕に構えていると、計画実施中にポロポロと穴が生じます。そして、アイディアはいつまで経っても形になりません。窮地に陥っているはずのリーダーが楽観的に振る舞っているのを目にするとき、それは、いたずらに周りを不安にさせない手法です。あくまでもフリです。本当に「何とかなるでしょ」と思っていれば、それは神頼み以外の何ものでもありません。

心理学の用語に、非現実的楽観主義という言葉があります。

文字面から意味が想像できますが、自分の将来を非現実的に楽観的に捉える姿勢を言います。より正確には、ネガティブな出来事に遭遇する可能性を過小評価し、ポジティブな出来事に遭遇する確率を過大評価することです。非現実的楽観主義は、感情、意思決定、行動にさまざまな影響を及ぼします。

例えば、自身の学業成績に非現実的楽観主義を抱く学生は、現実の試験結果を前にすると、ネガティブ感情を増大させたり、自尊心を低下させたりすることがわかっています。人事考課をする際、評価相手が非現実的楽観主義の持ち主であったら、評価後、仕事のモチベーションを低下させることが予想されます。

また、非現実的楽観主義を抱く者は、課題を完了させるとき、不適切な計画や時間配分をすることがわかっています。私の身近な人物に、常にポジティブで人当たりはよいのですが、次々にさまざまなプロジェクトに首を突っ込み、進捗に支障をきたす事態を繰り返し起こす人物がいました。状況を細かに確認する必要があり、なかなか大変だったことを記憶しています。

非現実的楽観主義を乗り越えるために

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