ドラマ「不適切にも~」昭和世代の部長が沼る理由 平成世代の「働き方」と「働きがい」の狭間で
東洋経済オンライン / 2024年2月16日 12時0分
今回は先に自己紹介しておくと私は、東洋経済オンラインで約7年にわたって連載を執筆する評論家(57歳)であり、かつ3年前までは、一部上場企業での部長職(勤務先での肩書は「局長」)を務める会社員でもあった。一時期は40〜50人の部下を抱えていた。
【画像】『不適切にもほどがある!』は「平成世代」が抱える葛藤に寄り添っている
さて、今回のテーマであるTBSドラマ『不適切にもほどがある!』については、東洋経済オンラインでは武井保之氏による「『不適切にもほどがある!』世代で生じる"温度差"~昭和世代からは共感も、Z世代にはファンタジー」(2月6日)という記事がアップされていた。
対してここでは、同記事のサブタイトルにある「昭和世代」(昭和に青春を過ごした世代)かつ元管理職である私が、このドラマをどう見たかを記してみたい。
昭和のフィルターを通すという発明
その前にドラマの魅力を整理しておく。
第1に「昭和のダメおやじが令和にタイムスリップ!」という構造が見事だ。後述する、コンプライアンスに汲々とする令和の窮屈さを批評するときに、ワンクッションとして昭和のフィルターを通すという発想が発見であり発明だと思う。つまりはアイデアの効いた「令和批評ドラマ」になっていることが魅力の1つ目である。
第2に、配役も「不適切」どころか、適切、最適かつ最強だ。特に、阿部サダヲ、仲里依紗、吉田羊の好演。
宮藤官九郎×阿部サダヲのタッグはNHK『いだてん』以来5年ぶり。また仲里依紗は、宮藤官九郎が手掛けた昨年のNetflix『離婚しようよ』に出演。その中で披露する大胆なキレ芸が素晴らしかった。森下愛子、斉藤由貴、小泉今日子……に続く「宮藤官九郎ドラマのクイーン」になる素材と見る。そこにさらに吉田羊という劇薬(もちろんほめ言葉)が加わるのだから、これはもうたまらない。
ここで特筆すべきは、小川純子を演じる河合優実(かわい・ゆうみ)だ。抜群の存在感を示している。昨年のNHK BS『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』で、主人公のくたびれた関西の女の子を好演した勢いが止まらない印象を受ける。
3つ目として、宮藤官九郎ドラマ特有の「昭和世代直撃小ネタ」も絶好調。いちいち面白い――のだが、ここから述べるように宮藤は、「小ネタ満載のドタバタ喜劇作家」としての世評を確立した「第1章」から、もう次のステップに進み始めているではないか。
「弱者の物語」を描く宮藤官九郎
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