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萎縮させられる「日本のエンタメ」が復活するカギ ドラマ「不適切にもほどがある」で痛感する現在地

東洋経済オンライン / 2024年2月16日 15時30分

さらには、コンプライアンスの強化がエンターテインメントを衰退させてしまうことを危惧する意見も目立ちはじめている。主な論点として、下記が挙げられる。

1. 人材の問題:クリエイティビティのある人材が獲得できなくなる恐れ

2. 規制や社会的風潮の問題:制約が強くなりすぎて自由な表現ができなくなる問題

それぞれについて見ていきたい。

最近、週刊誌の報道やSNSによる相次ぐ告発によって、芸能関係者の不祥事が相次いで表沙汰になり、多くの芸能人が表舞台から姿を消している。こうした動きは、これまでタブー視されてきたジャニー喜多川の性加害問題が表沙汰になった昨年から加速している。

芸能界のスキャンダルはもちろん前からあったが、

・10年以上前といった過去の言動まで洗い出されて責任追及される

・問題行為が確定していない疑惑の段階でも仕事から事実上干されてしまう

ということが起きている。

その反動として、行き過ぎた週刊誌報道やキャンセルカルチャーの流布を懸念する声も出はじめている。干された芸能人を擁護する意見として、下記のようなものがよく見られる。

・常識に囚われないからこそ創造性が発揮できる。そうした人たちに過剰なモラルを求めすぎるべきではない。

・(多少問題があったとしても)実力や実績のある人を干してしまうのはもったいない

実際は、クリエイティブな人間が必ずしも常識外れだとは限らない。また、常識に囚われないことと、反社会的行為を行うことは別のことである。とはいえ、これまで許されていたことが許されなくなってきており、激しくバッシングを受ける時代になってきたのは紛れもない事実だ。

過去と今では倫理基準も異なっているし、誤報や偏向報道の可能性もある週刊誌ネタが、判断基準になってしまうことには問題もある。漠然と業界から干されてしまうことがないよう、一定のルールは作る必要があるだろうし、不祥事で干された人たちがいつか復帰できるような基準も作っておくことも重要だ。

不祥事に関しては、被害者がいるかどうか、被害者がいる場合は謝罪と補償がちゃんとできているのか、当事者が反省していてかつ再発させないような条件が整っているか、といった点を見極める必要がある。

欧米では、性犯罪や暴力に対するジャッジは厳しい一方、不倫や薬物利用については比較的寛容といった傾向もある。反社会行為とまでは言えない過去の素行や、当事者間の問題である恋愛スキャンダルで、表舞台から干し続けることがはたして公正なことなのか、再考すべきであると思う。

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