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元祖トクホ茶「ヘルシア」、キリン移籍でどう変わる 21年目の老舗ブランド、花王の構造改革で売却

東洋経済オンライン / 2024年2月17日 7時30分

キリンは「免疫ケア」を打ち出してきたが体脂肪低減機能をうたう「ヘルシア」も加わった(記者撮影)

「ヘルシアは、お客様との接点を持つ非常に大事な事業だった。しかし、われわれで飲料事業を成長させることが難しいと判断した」

【花王の業績】最高益から一転、4期連続で営業減益に沈む

花王の長谷部佳宏社長は2月7日、決算会見でこう語った。同月1日に花王は、茶系飲料「ヘルシア」ブランドをキリンホールディングス(以下、キリン)傘下のキリンビバレッジに売却すると発表。8月以降はキリンビバレッジがヘルシアの製造・販売を行うことになる。

ヘルシアは、茶系飲料として初めて体脂肪低減機能をうたった特定保健用食品(トクホ)として2003年に発売された。国から個別に認定の許可を得る必要があるトクホは、販売にたどり着くまでの難易度が高い。それでも1990年代から脂質代謝の研究を続けてきた花王は、この認可をいち早く取得。茶系飲料系では初のトクホとして、発売時は話題をさらった。

30〜50代男性を中心に支持を集め、発売初年度の売上高200億円と大ヒット。その後、2023年までに累計約31億本を売り上げた。花王が得意とする研究開発がヒット商品に結びついた成功事例だった。

飲料分野のシェアはわずか

しかしその後、各社がトクホ商品を次々と投入し、2015年にはトクホよりも参入障壁が低い「機能性表示食品」の制度が開始。健康関連の食品が増加し、事業環境は厳しさを増していった。

洗剤や生理用品などで高いシェアを誇る花王だが、飲料分野のシェアはごくわずか。コンビニやスーパーでの棚取りでは、飲料メーカーが競合となる。大和証券の広住勝朗シニアアナリストは、「ヘルシア事業の年間売り上げはピーク時に300億円あったものの、直近では数十億円に縮小し、利益に至っては営業赤字に転落していた」と推測する。

花王の中期戦略において、ヘルシアは直近まで重要な立ち位置を担っていた。

今から3年前、2021年1月の社長就任時に長谷部佳宏社長は、2025年までの中期経営計画で「アナザー花王」という新構想を掲げた。「生命を守る事業」というコンセプトで「ライフケア事業」を新設。ヘルシアはこの事業に組み込まれ、「生活習慣病予防など、人の健康・命を守るための活動に取り組んでいるブランド」と、これまでの日用品事業とは別軸に位置付けられた。

しかしライフケア事業は、直近の2023年12月期で売上高563億円、営業赤字53億円に沈む。長谷部社長は「アナザー花王の中核は、他社と協力しながら研究資産を増やして拡大していくこと。ライフケア事業は今後も成長するべく舵を切っていく」と説明。研究開発などの費用先行が続く中、知名度は高いものの採算が悪化しているヘルシア事業は売却対象となった。

最高益から一転、4期連続減益

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