「1200袋の大量ゴミ」母の遺品整理する息子の心境 生前整理は大事だが、あえてしないという選択
東洋経済オンライン / 2024年2月17日 11時55分
モノ屋敷に一人で住む母と、遠方で暮らす息子は、「あえて生前整理をしない」という選択をした。母を亡くした息子は大量のモノであふれかえった実家の部屋に一人佇み、こう思った。
「母の好きなように生きてもらえてよかった」
本連載では、さまざまな事情を抱え「ゴミ屋敷」となってしまった家に暮らす人たちの“孤独”と、片付けの先に見いだした“希望”に焦点をあてる。
YouTube「イーブイ片付けチャンネル」で多くの事例を配信するゴミ屋敷・不用品回収の専門業者「イーブイ」(大阪府)が、遺品整理の依頼をした息子とともに実家を片付ける。
動画:『母の遺品整理「物を減らすよう説得するが逆に増える結果に...」』
ひとり暮らしをしている母の家がモノで埋もれている
生前整理とは、生きているうちに財産を整理したり、自分のモノを減らしたりすることだ。主に親が子に向けて、遺族の負担を軽減するために行う。イーブイも動画の中で、「生前整理の重要性」をたびたび訴えているが、悩んだ末に依頼者である男性は「しない」選択を取った。
現場は関西にある集合住宅の一室。かつては家族4人(父、母、姉、弟)で暮らしていたが、姉弟はそれぞれ独立し実家を出た。その後、父は亡くなり、母がひとりで住むことになった。母の趣味は歌だったという。コンサートにも出演し、衣装を大量に買い込んでいた。小物や雑貨も多く、3LDKと広い間取りだが、部屋はモノで埋まり、生活は主にキッチンで送っていたそうだ。
高齢者のひとり暮らしにしては広すぎる家だ。3つある部屋はモノが詰め込まれているだけで生活の場としては機能していない。ただ、母は長年住んできたこの家に愛着を持っていたようで、安くない家賃を払っていても、小さい家に引っ越すことは考えられなかった。そして、荷物が減ることはなく、どんどんと増えていってしまった。
男性もはじめのうちは「少しは片付けたほうがいいんじゃないか」と実家に帰るたびに母を説得していたという。
「ちょっとずつ私が片付けてもいたんですけど、それが母のストレスになっていたみたいです。“捨てたらええやん”って言うのは簡単ですけど、本人からしたらそれがプレッシャーになっていたようで。歳をとって動きにくくなってきていたし、膝に水が溜まったりもしていて、ストレスで別の病気になるよりも好きなように暮らしてもらったほうがいいんじゃないかと考えるようになったんです」(男性)
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