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「1200袋の大量ゴミ」母の遺品整理する息子の心境 生前整理は大事だが、あえてしないという選択

東洋経済オンライン / 2024年2月17日 11時55分

母が亡くなり、いざ遺品整理を一人で始めると、男性はすぐにその大変さに気が付いた。自分が住んでいる関東から関西の実家まで通い、とっておく遺品と捨てるモノを仕分けするも、母との思い出が詰まったモノを見ると手が止まってしまった。

「集合住宅なのでゴミは24時間捨てられるんですが、量が半端じゃないので、1回の片付けで20袋にもなる。1年ちょっとは頑張って片付けていたんですが、やっぱりしんどくなってきました。それに賃貸なのでお金の問題もあります。ぼちぼち区切りをつけようと思って業者にお願いすることにしました」

現場で作業をしていた文直氏も、「一人ですべて片付けるのは無理だったと思います」と言う。

「その家に住みながら散らかった部屋だけをちょっとずつ片付けるのなら話は別ですが、この依頼者さんの場合は家の中すべてを片付けなくてはならないうえ、わざわざ遠方から通っていました。おそらく、今回の作業はゴミ袋で言ったら1200袋くらいは捨てることになると思うんですよ」

業者に頼まず一人で1200袋を外に運び出すとなった場合、体力的な問題のほかにもゴミ捨て場がキャパオーバーになってしまう問題もある。一人の住人が1日に100袋もゴミを出してしまったら、ほかの住人や管理人と何かしらのトラブルが起きることは容易に想像できる。

「昔は遺品整理の業者も少なかったんですが、今は選べるくらいには充実しています。その中から3~4社に見積もりをしてもらうのがいいんじゃないかと思います。料金は平均的だけど手厚い対応をしてくれるとか、とにかく予算を削れるとか、遺品整理にもそれぞれのスタイルがあるので、とりあえず呼んでみたらいいんです。だって、どこの業者もだいたい見積もりは無料でやってくれますから」(文直氏)

お金と時間の価値観は人によって違う

亡くなってからバタバタするのではなく、生きているうちに生前整理をしておいたほうがいい理由もわかる。それができなかったゆえに、男性は1年間の家賃を払い続けた揚げ句、最終的には業者にお金を払って片付けをすることになった。「お金と時間の無駄」という声もあるかもしれないが、男性に後悔はなかった。

「母の死亡届を出したとき、お役所仕事なので仕方のないことなんですが、紙に“×”をつけて終わりだったんですね。そのときに無情を感じたというか、人が亡くなるってこういうものなんだって。もし、母が亡くなった翌月に業者を呼んでいたとしたら、心にポカンと穴が空いたような気持ちになっていたかもしれません」

作業は9人のスタッフで行われ、ものの4~5時間で母が住んだ家は空っぽになった。しかし、男性の表情は晴れやかだった。それは、「生前整理をしない」という選択と、1年という「片付けない」期間があったからこそである。

國友 公司:ルポライター

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