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「1200袋の大量ゴミ」母の遺品整理する息子の心境 生前整理は大事だが、あえてしないという選択

東洋経済オンライン / 2024年2月17日 11時55分

残り短い人生を好きに生きてほしかった

それからは実家に帰るたびに増えていく荷物には触れることなく、楽しく会話だけをして帰るようにした。男性が昔使っていた子ども部屋にも入ることができない状況になっていたというが、母のことを第一に考えると、そうするのが自然な選択だった。

「母にはストレスを与えないような形で、過ごしてもらえたかなとは思っています。僕よりも先に逝ってしまうのだから、その短い人生を、もう好きに生きてほしかった。それは多少なりともできたのかな」(男性)

イーブイの社長である二見文直氏も、「息子さんの選択は決して間違っていないと思います。すごく大切なこと。人に迷惑をかけていなければ、好きに生きればいいんじゃないかな」と話す。生前整理は「子のために親がしておく“べき”こと」とされているが、何事においても絶対はないのだ。

ただ、親が亡くなる直前まで、生前整理が原因で揉めてしまう親子も少なくない。残された負担をすべて抱えることになるので、子どもとしては生きているうちに片付けてほしい。一方の親は、何十年とその生活を続けている身だ。急にそのスタイルを変えることは、やはり大きなストレスになる。男性と一緒に遺品の仕分けをするスタッフの二見信定さんがこう話す。

「本当にご家族の片付けって難しいなと毎回思います。正解がないんです。一概にこれが打開策だと言えないので、いろいろ試すしかないんです」

片付けようとしない親を説得するには

ときにはイーブイのスタッフが依頼人の代わりに片付けの説得をすることもあるという。文直氏がその際、心がけていることがある。

「スタッフがお客さまに同調しすぎてしまって作業がなかなか進まない場合、私がフォローに入るんです。ここでそのスタッフが簡単に意見を変えてしまうと、かえってお客さまは不安になってしまうからです。意見をすぐに変えるのではなく、別の人が別の角度から説得を試みることが大切かもしれません」

子どもが2人いるならば、それぞれのアプローチで親を説得してあげるといい。だが、ここで気を付けたいのは2人揃って説得をしないことだ。

「2対1の構図になってしまうと、それだけで親にプレッシャーがかかってしまいます。ましてや、違う意見を同時に言われたら責められているような気持ちになってしまうでしょう。“それぞれ”別の角度から説得を試みることが重要です」(文直氏)

揉めてしまう親子でよくあるのが、「片付けられない親を持ってしまった」と子どもが被害者意識を持っているパターンだ。説得をする側の考えや感性は、ここまできたらどうでもいいのだ。いかに時間をかけて当事者に寄り添ってあげるか、その点に尽きる。

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