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「筑波合格も藝大に挑戦」彼の劣等感が消えた瞬間 ルポライターの國友公司さんに話を聞いた

東洋経済オンライン / 2024年2月18日 7時40分

しかし、2年半もの間、学年で最下位を争っていた國友さんはどこの大学もE判定。部活を引退してからスパートをかけたところで、なかなか成績は上がらないだろうと考えていました。

そこで彼は、1次試験のセンター試験で必要な科目数が5科目、2次試験は静物デッサンと論文のみで試験を受けられるという理由で、筑波大学芸術専門学群建築デザイン領域を第1志望に設定します。

「建築家になろうと思ったときに、東工大や早稲田の理工学部を目指すとなると、数Ⅱ・Bや 数Ⅲ、 物理が必要です。今からその科目をやって追いつくのは無理だと思ったので、科目を絞って、覚える範囲が少ない理科総合と、もともと好きだった地理を選択しました。

野球部の同期はみんなメリハリがあって、『全員で力を合わせて頑張ろう』という空気を作ってくれたのでありがたかったですね。9〜12月の4カ月間猛勉強したおかげで、センター試験の点数は、5科目で7割くらいを取れるようになりました」

静物デッサンはセンター試験(現・共通テスト)の後に予備校に通うことに決め、ひたすら筆記対策を頑張っていた國友さん。とはいえ7割の壁は厚く、センター試験本番では68%に終わってしまいます。これは志望大学の例年の合格ラインである80%には大きく不足していました。

「センター試験の結果を受けたリサーチでD判定が出て、(今年はもう)ダメだ……と思いました。2次試験で必要な静物デッサンも、担任だった美術の先生に基礎やコツを教わっていたくらいで、予備校で本格的にしたことはありません。実技試験までの2週間はパースを取る練習をしましたが、試験本番でも周囲より自分の作品は下手だと思ったので、受かるはずがないと思っていました」

「論文は意外とできた」と語るものの、不合格を確信し、浪人を覚悟していた國友さん。

しかし、なんと彼は合格を勝ち取ったのです。

嬉しい第1志望校への現役合格のはずでしたが、この出来事があまりにも彼の中で想定外であったため、のちの大学生活での苦悩につながります。

大学で劣等感を抱く日々が続く

無事、志望した筑波大学芸術専門学群建築デザイン領域に合格した國友さん。入った大学は、熱心な先生方と、意識が高い学生ばかりだったようで、専攻の学問を熱心に学ぶにはとてもよい場所だったようです。

しかし、この「素晴らしい環境」に苦しんだのは、ほかの誰でもない國友さん自身でした。

「周囲の学生は、みんな高校時代から何かしらの芸術を通ってきている人たちばかりでした。僕は建築がなんとなく好きなのでこの学部に入ったのですが、みんな具体的に『構造が美しいからこの建物が好き』と答えられる”感性”を持っていたんです。

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