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「筑波合格も藝大に挑戦」彼の劣等感が消えた瞬間 ルポライターの國友公司さんに話を聞いた

東洋経済オンライン / 2024年2月18日 7時40分

実技の授業でも、劣等感を抱く日々が続きました。作品を作って先生の前で発表し、講評をいただくのですが、自分の作った作品のレベルがあまりにも周りと違いすぎたんです。

周囲との差が埋まらないことに悩むうちにあっという間に1年が終わってしまって、このまま2年、3年が経過したとしても、周りに追いつかないままズルズルいくんだろうなと感じていました。

それで1回大学を休んで考えようと思って、1年生が終わったタイミングですぐに大学を休学しました」

大学を休んだタイミングで彼は、「周囲との差を埋めよう」と思い、浪人を決断します。

「周りとの差をどうしたら縮められるか考えたのですが、自分が芸術の世界でいちばん上とされる東京藝術大学の美術学部建築科に行ければいいんじゃないかと考えたんです。そこで、受験に踏み切って、4月から代々木ゼミナール造形学校に通うようになりました」

東京藝術大学の入試は、センター試験とデッサンで判定します。1次試験はセンター試験と静物デッサンの合算で振り分けられ、2次試験は空間デッサンで判断されました。

そのため、学科試験の勉強も、専門的な勉強も、どちらもする必要があったのです。

「僕が通っていた造形学校の実技授業は土日だけだったので、平日は自分で勉強していました。藝大も筑波と一緒でセンター試験の得点率が8割くらい必要なのですが、数Ⅱ・Bや物理も必要だったので、その対策に追われて成績はまったく上がりませんでした。自分で一から物理を勉強するのは無理でしたね」

平日は昼前に起きて図書館に行き、18時から19時まで勉強、夜に予備校費用を稼ぐため24時まで焼き鳥屋でアルバイトをしていた國友さん。土日も朝の8時半には家を出て、10時から17時まで授業を受けて、それから出された課題を考えて描く生活を続けたそうです。

東京藝大への挑戦は不合格に終わった

「途中から実技の勉強が面白くなった」と語る國友さんは、予備校の先生にもデッサン力を評価されたようで、「学科試験さえできれば受かるはずだ」とのお墨付きをいただいたようです。

しかし、ほぼ初学でかつ独学の数Ⅱ・B、物理を1年で克服できるほど甘くはありませんでした。模試はいつも物理・数Ⅱ・Bが足を引っ張り50%後半から伸びなかったようで、センター試験本番も50%前半くらいに終わってしまいます。

「センター試験の点数を見て、もう受からないと悟った」と語る國友さんは、センター試験と静物デッサンの合計点で不合格になり、得意だった空間デッサンを受けられないまま東京藝術大学は不合格になってしまいました。こうして、彼の浪人生活は終わりを告げたのです。

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