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なぜ、私たちは「Yakult1000」が欲しくなるのか? 自分をいたわるためならいくら出してもいい

東洋経済オンライン / 2024年2月19日 11時40分

・メインターゲットを、日々のストレスや睡眠で悩む人が多い30~50代のビジネスパーソンとする。

・彼らに刺さる「先進的、機能的、科学的、大人向け」を表現するために、「ネーミング表記」や「パッケージデザイン」を変える。

・商品名はこれまでのカタカナ表記から「Yakult」とアルファベット表記へ。デザインも、従来品と差別化するためにメタリックで光沢感のある赤色を採用。

・味わいも従来品より甘さを控えめにして、よりすっきりした味に。一方で、飲み応えを出すために100mlと量を増やす。

・最新技術を結集して作ったことから、1本48円(税別)の「Newヤクルト」の約3倍である1本130円(税別)という高価格に値付け。

とはいえ、当時は睡眠にアプローチする飲料の市場はまだ小さく、「腸と脳との関係」が消費者に理解されるかどうかが不透明でした。社内での検討の結果、「この価値を正しく理解してもらわないと売れない」とし、「まずは限られた地域の宅配で、ヤクルトレディによる丁寧な説明が不可欠」という販売方針が固まりました。

こうして「Yakult1000」は2019年10月、メインターゲットとして想定する30~50代のビジネスパーソンが多い関東1都6県限定で、ヤクルトレディによる宅配専用商品として販売されたのです(加えて百貨店や高級スーパーの一部店舗でも限定販売しました)。

ヤクルトレディは1963年からあるヤクルト独自の宅配販売員制度。個人事業主である宅配員(現在はパート制度もあります)がお客さんの自宅やオフィスに出向き、直接話をしながら新商品の説明をしたり、商品を届けたりするのが特徴です。

ヤクルトレディによる地道な販売で徐々に浸透

最初に実行したのは、ヤクルトレディやその家族たちに「Yakult1000」を飲んでもらうことでした。自身や家族で飲用して効果があると思えれば、販売時に説得力が生まれます。情報過多の現在だからこそ、なじみの人が顔を見て説明する効果は大きいと考えたのです。

それは見事に当たりました。こうしたヤクルトレディの地道な営業や、コロナ禍のストレスフルな状況が追い風となり、売り上げが増加していきます。

テレビCMでは各界のプロフェッショナルに登場してもらい、仕事で大切にしていることや信念を語ってもらうことで、これまでとは違う「先進的、機能的、科学的、大人向け」が浸透するようにしました。

SNSにも「ぐっすり眠れた」「すっきり目覚められた」といった口コミが多く投稿されるようになりました。

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