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なぜ、私たちは「Yakult1000」が欲しくなるのか? 自分をいたわるためならいくら出してもいい

東洋経済オンライン / 2024年2月19日 11時40分

たとえば、自社の「キリン生茶」という主力緑茶飲料にプラズマ乳酸菌を配合した「キリン生茶免疫ケア」を販売しています。定番品よりは少し高いのですが、自分メンテナンスにつながるのであれば、多少高くても買いたいという消費者は一定数いるのです。

栄養ドリンクというと、いつ飲むイメージでしょうか?

一般的には、朝から夕方にかけて、これから頑張らなければならない時に飲むイメージです。

そんな常識を覆す栄養ドリンクが、2022年に大ヒットしました。それが2021年9月にアリナミン製薬から販売された栄養ドリンク「アリナミンナイトリカバー」です。コンセプトは「寝る前に飲んで疲労回復」。

頑張る時ではなく寝る前に飲む栄養ドリンク

寝る前に飲むと、抗疲労成分フルスルチアミンや、アミノ酸のタウリンなどの有効成分が身体に浸透し、疲労を回復します。眠りを妨げないようにノンカフェインで、さらに睡眠に関与するアミノ酸のグリシンを配合。栄養不良による睡眠の質(眠りの浅さや目覚めの悪さ)を改善するといいます。

アリナミンは1954年、武田薬品から発売されたブランドです。1990年代には栄養ドリンク「アリナミンV」で、アーノルド・シュワルツェネッガーが「ダイジョーV」というCMで話題になりました。

その後、子会社化されブランドが引き継がれるなどの経緯を経て、2021年武田薬品工業株式会社との資本関係を解消し、アリナミン製薬株式会社へ社名変更され現在に至ります。「ナイトリカバー」の開発は2019年に始まりました。

翌年、新型コロナウイルスの影響で、テレワークが普及し勤務形態も多様化しました。通勤時間は減ったものの、体を動かさなくなったことで疲労は蓄積。「体調不良で睡眠が浅くなった」と訴える人が増加したのです。

「夜、良い睡眠をとって“朝までに疲れを回復させたい”というニーズが増えているのではないか?」という考えから、通常より1年ほど開発期間を縮め、2021年9月に発売にこぎつけました。

「ナイトリカバー」というネーミングは、直感的に使用シーンがすぐに浮かぶものという理由で決めたといいます。今までの栄養ドリンクはほとんどが茶色の瓶でしたが、ナイトリカバーはパッケージに落ち着いた濃紺を採用。落ち着いたブルーを基調とした16面カット瓶というデザインは、女性も手に取りやすいスタイリッシュなものとなっています。

その狙いは見事に当たりました。「アリナミンナイトリカバー」は発売から1年で約1250万本を売り上げ、「日経トレンディ2022年ヒット商品ベスト30」の15位にも選ばれています。従来の栄養ドリンク剤ニーズの枠を超えて「寝る前に飲んで疲労回復」という新しいコンセプトが、「自分メンテナンスのためならお金を出す」という風潮にフィットしたのです。

川上 徹也:コピーライター、湘南ストーリーブランディング研究所代表

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