元傭兵が選出「今、戦いたくない国の軍隊」トップ3 第2位・北朝鮮軍を上回ったのは…
東洋経済オンライン / 2024年2月19日 14時0分
もちろんアメリカ軍でも、捕虜を裸にしていびった等のスキャンダルが流出することがありますが、まだ拷問が問題になるレベルです。
「ルール、条約を遵守する。守らなければ裁判で追及される」
そんなアメリカとは、交渉の余地があります。北朝鮮はもちろん交渉の余地はなく、だから傭兵として戦うのには躊躇しますね。
統制が取れていない国
3位はアフリカ諸国やイスラム諸国などにある、統制が取れていない国です。イスラエル、北朝鮮とは逆と言っていいかもしれません。
軍として統制が取れていない。一人が騒ぎ出すと、周りが同調してどんどん騒ぎが大きくなる。騒いでいた理由は誰もわからないまま暴走してしまう。ブレーキが効かない軍隊があります。そういう軍隊は暴走して、虐殺行為に走る場合があります。
西アフリカの西部、シエラレオネ共和国は“紛争ダイヤモンド”が有名な地域ですが、革命統一戦線が虐殺や略奪、処刑を繰り返しました。制御が利かなくなっていたんだと思います。
アフガンでも、生きている人間に火をつけるといった蛮行が行われていました。残酷な行為ですが、
「組織に認められている行動」
として、正々堂々とやっていました。そんな敵を相手にするのは嫌ですよね。
ミャンマーで戦っていたときに、いわゆる「バンザイアタック」をしてくる敵がいました。特攻、突撃、ですね。
制圧した後に、敵の塹壕に行くと、地面に注射器が落ちていました。メディック(衛生兵)かな? と思ったんですが、注射器の中はアルコールでした。
つまり作戦前に兵隊にアルコールを注射して酩酊状態にさせて恐怖感をなくし、無理やり突撃させていたようです。めちゃくちゃな行動です。
ミャンマーで水浴びをしているとよく上流から敵軍の死体が流れてきました。敵が死体を回収しない、処理を任されることもありました。竹の棒で引き寄せてひっくり返すと、エビやカニがピチピチ出てくるんですよ。タイで食べたエビがうまかった原因は、ミャンマーで栄養たっぷりの餌を食べていたからか、と妙に納得しました。
つまり、無理やり特攻させて、かつ死体の回収すらまともにしない軍隊なんです。味方に対してそんなぞんざいな扱いをする軍隊が、敵に対してまともな対応をしてくれるわけがありません。
だから、そういう統制の取れていない国とはなるべく戦いたくないですね。
「軍事力」だけでは測れない、さまざまな要素
軍隊を語るときには「軍事力」が真っ先に挙げられることが多い。ただ、現場で戦う人にとっては「軍事力」だけでは測れない、さまざまな要素があることがわかった。
「でも、日本にとっては関係ないこと……」
と言い切れない世界になってきていることに、恐怖を感じてしまう。(後編:戦場で戦う傭兵「嫌な奴はいない」意外なカラクリ に続きます)
村田 らむ:ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター
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