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JR貨物社長が語る「上場可能性」や対トラック戦略 青函トンネル、並行在来線、新幹線荷物輸送は?

東洋経済オンライン / 2024年2月19日 6時30分

JR貨物の犬飼新社長(撮影:尾形文繁)

国内物流ではトラックが主役で鉄道貨物は劣勢に立たされているが、トラックドライバーに時間外労働規制が設けられる「物流の2024年問題」の適用開始が4月に迫る。北海道では新幹線札幌延伸後の在来線のあり方が定まっていない。JR旅客会社は新幹線を使った荷物輸送に乗り出した。JR貨物を取り巻く環境が激変する中、経営の舵取りをどのように行うのか。犬飼新社長に話を聞いた。

2024年問題は追い風になる?

――トラックと比較したJR貨物のシェアは?

【写真を見る】今後どうなる?函館本線や青函トンネルを走る貨物列車

輸送距離によって違う。800kmを超えるような長距離輸送だと鉄道貨物のシェアは高い。801~1000kmで24.8%、1001km以上で50.3%となっている。中距離では601~800kmが12.1%、401~600kmだと4.4%にすぎない。短距離ではもっと低い。今後は中距離帯において鉄道貨物の需要が増えると考えている。長距離はさらに伸ばせると思っている。

――物流の2024年問題は鉄道貨物にとって追い風となりますか。

たとえば今まではトラックで十分運べていたものが、規制によってトラックでは運べなくなるとか、トラックの運転手を2人に増やさないといけないとか、休憩時間を加えることでリードタイムが長くなってしまうといったことが考えられる。そうなれば鉄道貨物の出番が増えてくる。

――それによって、JR貨物の売り上げはどのくらい増えるのですか。

その予測はなかなか難しい。だが、手はいろいろと打っている。3月ダイヤ改正のタイミングで首都圏(東京、倉賀野、熊谷)から広島への需要が旺盛なので首都圏から九州に向かう列車について貨車の数を増やしたり、広島に停車する本数を増やしたりして輸送力を増強する。また、東京と大阪の間は輸送時間を短くする。走る列車の速度はそれほど変えられないが、駅での作業を工夫するなどして、たとえば東京から大阪までの輸送時間は1時間くらい短縮する。これらの方策によって、輸送量がどのくらい増えるか楽しみだ。

――もし鉄道貨物の需要が1割、2割と増えてきたら運行本数増で対応できますか。

それくらい需要が増えれば万々歳だが、そもそも現在のコンテナの輸送量はコロナ前よりも2割くらい減っている。そう考えると、需要が1~2割増えても今の列車本数で事足りる。もし列車の本数を増やす場合は機関車、貨車、運転士などの投資が必要になってくる。国鉄時代の古い列車の置き換えはやっているが、新しい投資をどんどん行っていくというのは需要がさらに増えたときかなと思う。

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