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ヒット薬が97%減、住友化学子会社が陥った窮地 後継薬の売れ行きも目算狂う、財務は急悪化

東洋経済オンライン / 2024年2月19日 7時30分

短期借入金のうち、900億円はこの3月で借換期限を迎える予定だ。これは2023年3月にマイオバント社の株式を追加取得して完全子会社化した際に借り入れたもので、「メインバンク(三井住友銀行)と、返済方法について協議している」(野村社長)という。ある証券アナリストは「これが銀行や親会社のサポート姿勢の試金石となる」と分析する。

そのほかの借入金については、ロイバント社の保有株売却などで資金を捻出するという。

仮に目の前の借金の返済を先延ばしできたとしても、当面、基幹3製品の売り上げが大きく伸びる可能性は乏しく、キャッシュの流出はこの先も続くと見込まれる。会社側は短期的な止血策として、研究開発費をはじめ販管費の大幅な削減を急ぐと強調する。

野村社長は赤字の北米事業を優先して見直すとするが、すでにアメリカでは2023年に大規模な構造改革で人員削減などを行っており、追加のコスト削減余地がどこまであるかは不透明だ。

このままでは住友化学と共倒れ

焦点となるのは、親会社である住友化学の支援だろう。

ただ、その住友化学も今期、サウジアラビアの石油事業や住友ファーマの苦戦が響き、過去最大となる2450億円の最終赤字を計上する見通しだ。

同社の岩田圭一社長は2月2日の決算会見で、「創業以来の危機的状況」とし、来期に向けて「抜本的構造改革」を行うと言及。上場子会社が足を引っ張っている状況について問われると、「今後、抜本的改革の中で資本の持ち方をどう考えるか、体制をどうするか、については聖域なく議論していきたい」と答えた。

ある市場関係者は、「このままでは住友化学と共倒れ。最終的な救済策として(医薬品事業も展開する)住友商事に頼る手もあるが、赤字の会社を買うような行為はグループの信頼性を問われることになる。まずは売れる資産を売り、コストのかかるがん領域の研究開発を手放すなどして、最低でも赤字を脱することが必要だ」とみる。

思い切ったコスト削減により、自力で黒字化を果たせるのか。この1年が正念場だ。

兵頭 輝夏:東洋経済 記者

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