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「10年で17回職務質問」受けた男性が語る差別 レイシャル・プロファイリング巡り国など提訴

東洋経済オンライン / 2024年2月19日 8時0分

「レイシャル・プロファイリング」による職務質問が人種差別に当たるとして国などを訴えた件について日本外国特派員協会で語るモーリス・シェルトン(編集部撮影)

海外でも注目されつつある、日本の警察による「レーシャル・プロファイリング」。人種や肌の色を理由に捜査対象を選別する行為だ。

民族ルーツ別の過去5年間に職務質問を受けた比率では、アフリカ系と中南米系、中東系の比率が高い

1月29日、モーリス・シェルトン、ザイン・サイード、マシュー(苗字は非公表)の3人の在日外国人がこのレイシャル・プロファイリングに終止符を打つために立ち上がった。日本国と東京都、愛知県を相手取り、民族差別による頻繁な職務質問を理由とする訴訟を東京地方裁判所に起こしたのだ。

2月1日に日本外国特派員協会で開かれた記者会見で訴訟について語ったシェルトンは、「本当にもう十分だ。もう疲れてしまった」と語り、公民権運動家ファニー・ルー・ハマーの言葉を付け加えた。「疲れること自体に疲れてしまった」。

彼は日本の警察による虐待にうんざりしているのだ。過去10年間で、彼は16、17回警察に止められ、質問された。

彼を止める警察は決まってこう聞く。「ビザのオーバーステイか? どこから来たのか? どこへ行くのか? 在留証明は持っているのか? 今まで何をしていたのか? 仕事は?」

「本当にもう懲り懲りだ」とシェルトンは言う。

もう1人の原告マシューは、2002年に来日して以来、警察に少なくとも70回は尋問されたと述べている。8歳の時にパキスタンから来日し、13歳で日本国籍を取得したザイン・サイードは、2016年に10代で名古屋に引っ越して以来、15回警察から尋問を受けたと主張している。

裁判で彼らの言い分が認められれば、原告らはそれぞれ330万円の賠償金を受け取ることになる。シェルトンと、この日記者会見に同席した原告代理人の谷口太規弁護士は、無実の人を犯罪者として扱い、自白を強要し、保釈を拒否することで世界的に知られる司法制度に今こそ挑むときだと考えた理由を説明した(ヒューマン・ライツ・ウォッチ、世界的な人権侵害を調査する団体による解釈)。つまり、これは金の問題ではない。

アメリカ出身で日本に10年以上住んでいる41歳のパーソナル・トレーナー、シェルトンは、この訴訟が何人かの人々を目覚めさせ、沈黙を守っている人々が声を上げる勇気を持つ手助けになることを願っている。

「私の家族でさえ、妻は報復を恐れて、私たちの名前をこの件に関連付けたがらなかった。それが外国人を差別する人たちの狙いなんだ。彼らは、差別される人は誰もが恐れており、1人では何もできないと考えている。でも私たちが団結して、自分たちの集団の力に気づけば、そんなたわごとに付き合う必要はないんだ」とシェルトン。

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