北米で快進撃「ゴジラ-1.0」ヒットの"4つのカギ" TOHO Global社長の植田浩史氏にインタビュー
東洋経済オンライン / 2024年2月22日 12時20分
邦画実写史上最大規模となる2600館以上の北米公開へと拡大し、最終興収は5641万ドル(現在の為替レートで約84億円)を超え、邦画実写で歴代最高北米興収を記録した『ゴジラ-1.0』。
【写真】TOHO Global社長の植田浩史氏/「ゴジラ-1.0」のシーン
「第96回アカデミー賞」では邦画として初めて視覚効果賞にノミネート。これまで国内市場のみが主戦場だった邦画実写にとって、異例の記録ずくめの快進撃になっている。
その背景にあるのが、昨年7月に東宝が設立した新会社TOHO Globalの存在。『ゴジラ-1.0』の北米配給を担った子会社Toho International, Inc.と連携を取り、自社配給第1弾となった本作で大きな実績を作った。
東宝の新たな海外戦略の第一歩となった今回の挑戦と、日本映画界の世界への距離を近くした意義について、TOHO Global代表取締役社長の植田浩史氏に聞いた。
海外展開加速のため、子会社設立
東宝は、2022年に発表した長期経営計画「TOHO VISION 2032」のなかで、4つの成長戦略キーワードのひとつに「海外市場の開拓」を挙げていた。
その具現化策として、それまで社内の国際部が担っていた東宝グループの映像コンテンツビジネスにおける海外事業展開を、TOHO Globalを設立して移管した。
その立ち上げを指揮した植田氏は、別組織にすることのメリットと狙いをこう語る。
「創業90年の東宝は、国内で盤石な体制を築いている一方、海外に関してはまだまだ新参者です。そうしたなか、複雑な事情のある海外マーケットを日本から遠隔操作で動かすのは効率が悪い。
海外をこれから先の柱に据えるのであれば、現地のスタッフが機動的に動けて、日本側がしっかりと状況を把握していることが大切です。連絡を密にして、1つの組織としてガバナンスを利かせながら連携していくことを理念にスタートしました。
この先の東宝の海外事業の成長において、重要なステージに位置づけています」
そんな東宝が海外での自社配給に踏み切ったのが、『ゴジラ-1.0』の北米公開だ。現地の劇場ブッキングは、TOHO Globalの在米子会社Toho International, Inc.が担い、IMAGICAグループのPixelogicが業務をサポート。邦画実写として最大規模の2600館以上という公開館数まで拡大した。
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