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18歳の光源氏が「10歳の少女」に心奪われた深い訳 大河でも話題「源氏物語」の世界を読み解く

東洋経済オンライン / 2024年2月22日 14時0分

(イラスト:花園 あずき)

大河ドラマでも話題の『源氏物語』。現代人の感覚からすると、ツッコミをいれたくなるような、コミカルな要素もある作品です。そんな奥深い源氏物語の魅力を解説した、西岡壱誠氏著『東大生と読む 源氏物語』を一部抜粋・再構成してご紹介します。

紫式部の波乱の人生を描いた2024年の大河ドラマ「光る君へ」(NHK総合、日曜20時~)をきっかけに、多くの人が「源氏物語」に注目しています。

【写真】『東大生と読む 源氏物語』(西岡壱誠著)では、源氏物語の奥深い世界を解説

1000年前に描かれた、世界最古の長編小説である源氏物語。その物語は多くの作品に影響を与え、いろんな物語の源流になったとも言われています。

「若紫」で描かれる衝撃的なシーン

さて、そんな源氏物語ですが、再度読み返してみると、現代人としては「ええ!?なんでこんな展開になったんだ!?」とツッコミを入れたくなるようなシーンも多いです。

例えば、第5帖の「若紫」では、かなり衝撃的なシーンが描かれています。主人公の光源氏(18歳)が、10歳の少女に心惹かれ、強引にその少女を攫って自宅に囲い込んでしまうのです。

もちろんいろんな経緯があったのですが、それでも主人公が幼女を誘拐し、妻にしてしまったことには、違いありません。

なぜ「世界最古の長編小説」でこんなシーンが描かれたのでしょうか?このシーンについて、掘り下げたいと思います。

そもそも、なぜ光源氏は10歳の少女・若紫に恋をしてしまったのでしょうか? 光源氏が若紫のことを目にするシーンは、こんなふうに描かれています。

原文:限りなう心を尽くしきこゆる人に、いとよう似たてまつれるが、まもらるるなりけり」と、思ふにも涙ぞ落つる。

現代語訳:(なぜこんなに自分の目がこの女の子に引き寄せられるのか、その理由は、)「限りなく心を奪われている藤壼によく似ているからだ」と気がつき、光源氏は涙を流した。


主人公の男性が、10歳の少女を見て涙を流しているというかなり衝撃的なシーンですが、注目すべき点は「いとよう似たてまつれる」というところです。

実は、この少女は、光源氏の思い人である「藤壺」という女性と似ていました。後々、少女は、藤壺の親戚であることが判明します。この少女のことを光源氏が好きになったのは、藤壺と似ていたからなのです。

少女に似ていた継母の存在

しかし、なぜ涙を流しながら彼女のことを見ているのか? それは、藤壺という女性が、光源氏と決して結ばれるはずのない相手だからです。というのも、藤壺は実は、光源氏ではなく、光源氏の父である天皇の妃なのです。つまり光源氏は、継母に恋をしてしまっているわけです。

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